輪島の児童「友達増えた」 能登半島地震、学びや今も間借り

母校の校舎が被災したため、間借りする輪島中で授業を受けている上野さん(右)。放課後に迎えに来た母梨絵さん(左)に学校での出来事を報告していた。中央は妹の理帆さん=石川県輪島市・輪島中

 校舎が被災した複数校の児童が一つの教室に集まり、同じ授業を受けている。能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市では、被災した小学校7校と、中学校1校の計8校が他校を間借りする形で教育を継続している。震災から半年が過ぎようとする中、複数校が一緒になった学校生活が続いており、再建に向けては学校統合も視野に入れた検討が進む。

 「初めて登校した時は同級生が多くてびっくりした。友達が増えてうれしいけど、まだ同級生の名前が覚えられない」。校舎が被災したため、輪島中の校舎で学ぶ上野倖希(ゆき)さん(9)=大屋小4年=は変化を受け入れながらの毎日だ。震災前まで同級生は11人のみだったが、6校が同時に学ぶため一気に増えた。ただ、市外に避難して転校した大屋小の同級生も4人いる。

 輪島中では、パソコン室などの特別教室を活用したり、間仕切りをしたりした教室で授業を受けている。「最初は『人数が少なかった大屋小に戻りたい』って言っていたけれど、最近は学校生活の話をよくするようになって少し安心した」。母親の梨絵さん(46)はなじめるか心配もあったが、長女の様子から心配は薄らいだという。

 自宅が全壊し、アパートで避難生活を送る上野さん。学校が集約する新たな環境での目標は「算数の勉強と陸上を頑張る」ことだ。その無邪気な笑顔は梨絵さんら家族に力を与えている。

輪島中の教室で英語の授業を受ける被災した小学校4校の児童(輪島市教委提供)

 避難所や仮設、減った遊び場

 地震の影響は、子どもたちの放課後にも及んでいる。放課後児童クラブが被災したり、公民館が避難所になったりしたため、遊び場が減少した。屋外では、グラウンドなどが仮設住宅の建設地や、がれきの置き場になっている。

 多くの放課後児童クラブを運営する輪島市社会福祉協議会は、共働き家庭などの支援には欠かせない場所であることから、同クラブの再開を急ぐ。現在は12カ所あるうち、4カ所で再開にこぎ着けたところだ。

 同社協の山岸正子児童福祉課長は「まだまだ遊び場は限られているが、伸び伸びと過ごせるような環境づくりをしていきたい」と話した。(報道部写真映像課・石井裕貴)

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