パリオリンピック代表の馬瓜姉妹…目指すは大舞台での“恩返し”「すごく大きい機会になる」

日本バスケットボール協会は6月25日、パリオリンピックに出場する女子日本代表(FIBAランキング9位)の内定選手12名を発表。『Akatsuki Japan』を主力として支える馬瓜エブリン(デンソーアイリス)、馬瓜ステファニー(CASADEMONT ZARAGOZA)は姉妹そろってのパリ五輪出場を決めた。

6月20日・21日に開催された「三井不動産カップ2024(北海道大会)」では、第1戦でエブリンが3ポイントシュート4本を含むゲームハイ20得点の活躍。続く第2戦ではステファニーが12得点3リバウンド2アシストとマルチな活躍を見せ、エブリンも13得点で攻撃をけん引し、姉妹の活躍が女子オーストラリア代表(同3位)の撃破につながった。

昨年の春にニューヨーク・リバティ(WNBA)のトレーニングキャンプに参加して以降、妹のステファニーは活動拠点を海外に移し、2023-24シーズンはスペインリーグのチームに所属。今年の春には再びリバティのキャンプに挑戦し、2度目も開幕ロスターをつかむことはかなわなかったが、来シーズンはユーロリーグ所属のZARAGOZAへ入団を決めている。

21日の試合後に開催されたメディア対応では、姉も「めちゃくちゃ変わっています」と、ステファニーの成長にコメント。「近くにいるのであまり言いたくないですけど、そろそろ姉としても一対一で勝てなくなってきたなぁと」と、普段の元気さを抑えた声量で語り、取材陣の笑いを誘った。

オーストラリアとの2連戦で活躍を残した馬瓜エブリン[写真]=野口岳彦

「(ステファニーは)ちっちゃいころから器用な選手なので、(自分とは)プレースタイルが全然違うんですけど。最近は器用さに体力もついてきて、マルチにできるところは敵わないと思います。私は心と体の強さでいきます」(エブリン)

姉からも期待を寄せられているステファニーだが、ここ2シーズンは成長を実感するとともに、実力不足を感じる瞬間があった。「(リバティから)カットされると、そのまま体育館から帰らされて、チームとの接触がまったくなくなります。やっぱり悔しいですし、カットされることには慣れたくないと思いました」と、FIBAは海外修行を積むフォワードの胸中を明かしている。

パリオリンピックでの初戦は大会7連覇中、東京五輪の決勝で敗れた“絶対王者”女子アメリカ代表(同1位)。キャンプで親交を深めたブリアナ・スチュワートやサブリナ・ユネスクもメンバー入りしており、ステファニーは「リバティ(の開幕ロスター)に残れなかったことはちょっと悔しいので、オリンピックでやり返せたら」と闘志を燃やす。

「(リバティからは)ディフェンスの部分では去年のほうがよかったというフィードバックをもらったので、それはオリンピックや次のシーズンにつなげていけたらいいなと思います。身構えずにやることをやるだけですし、もちろん負ける気はないです。自分たちができることを一つひとつやれれば、勝てると思っています」(ステファニー)

海外挑戦で実力を伸ばすステファニー(中央)[写真]=野口岳彦

姉妹でのオリンピック出場は、彼女たちにとって名誉というだけではない。ステファニーは「自分たちがここまで来るのはイージーではなかった」と振り返り、「いろんな方の支えがあってここまで来れたと思うので、感謝の恩返しの意味でも、すごく大きい機会になるんじゃないかと思います」と、ガーナ出身の両親を含め、これまで自身をサポートしてくれた人たちの存在に触れた。

エブリンも「簡単でなかったのは、バスケットボール以外も全部含めてです。そういう意味でも、パリに2人で行くのが一番の恩返しだと思います」と語るように、姉妹は大きな想いを背負って五輪に挑む。ぜひとも前回大会に続くメダル獲得を成し遂げ、パリから感謝を届けてもらいたい。

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