【鉄路と生きる】福島県内JR路線存廃「協議会」現段階で設置せず 「地域の交通機関、議論したい」

 JR東日本の高岡崇執行役員東北本部長は28日、厳しい経営に直面している地方鉄道の存廃を国主導で議論する再構築協議会に関し、福島県内のJR路線については現段階で国に設置を申請する考えはないと明らかにした。一方、赤字を公表した県内の路線は「大量輸送の機能を担えていない」とし、「地域にとって最も使いやすい交通機関が何かを議論したい」と述べた。福島民報社の取材に答えた。

 県内JR路線については県や沿線自治体が対策協議会などを設けて利活用策を探っている。JRはオブザーバーとして議論に関わり地元との関係を築いている。高岡氏は「地域の皆さまと議論できる段階で再構築協議会(の設置)に進むのは考えづらい」とし、国へ設置申請を検討している路線はないと強調した。

 JR東は利用の少ない地方路線として1キロ当たりの1日平均乗客数2千人未満の路線の収支を公表している。県内では水郡、只見、磐越西、磐越東の4路線9区間が該当し、いずれも赤字だ。高岡氏は「鉄道にこだわり続けるのが正しいとは思っていない」と他の手段を含めた議論の必要性に言及。再構築協議会に関し「将来にわたって使わないとは現時点で申し上げられない」と状況次第で方針転換する可能性を示唆した。

 全線再開通したJR只見線のダイヤ改正などによる輸送力の拡大は収支面から厳しいとし、沿線地域と連携して一層の活性化を進めるとした。

 再構築協議会はJR西日本が昨年10月、JR芸備線(岡山県・広島県)について全国で初めて国に設置を申請した。JR東管内で申請の動きはないが、県外では災害や利用者減を背景に存廃議論が進む路線がある。

 県や県内市町村はJR路線の維持・存続を目指しており、利用増への機運醸成が一層重要になる。県生活交通課の担当者は「引き続き市町村と連携し利活用促進に取り組む」と話した。 高岡氏は20日付で執行役員東北本部長に就任した。

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