アメリカのバレエ名門校で武者修行も “中学3年生”バレリーナの素顔は? 新作バレエ「赤毛のアン」ソリストにも抜擢 今後の夢は?

今年10月に鳥取市で上演される新作バレエ「赤毛のアン」。
プロのダンサーや、オーディションで選ばれた多くの出演者が本番に向け稽古に励んでいます。中学3年生にしてソリストに大抜擢された山下彩香さん、彼女のバレエに対する情熱に迫ります。

鳥取市のバレエ教室で練習に励む1人のダンサー。
米子市の中学3年生、山下彩香さんです。

山下彩香さん
「自分が踊ることで、お客さんにその物語がどういう物語なのかということや、感動とかバレエで興味を持ってもらえるようなダンサーになりたいです」

理想のダンサー像をこのように描く彩香さん。
中学最後の年、さらなる成長を目指し、様々なチャレンジが待っています。

5月18日、鳥取市のとりぎん文化会館。
今年10月に上演される鳥取県文化振興財団がプロデュースする新作バレエ「赤毛のアン」の全体稽古が行われていました。

主役のアンなどはK-BALLET TOKYOのプロのダンサーが務めますが、その他の役はオーディションで選ばれた地元の子どもやダンサーたち。
彩香さんもその中の1人です。

いちから作り上げる舞台に魅力を感じたという彩香さん。
しかし、もう1つ理由がありました。

山下彩香さん
「普段は古典というクラシックのバレエが多いんですけど、今回はキャラクターっぽい。舞台でするというのはあまり経験がないのですごく勉強になります」

私たちがよく目にする「くるみ割り人形」や「白鳥の湖」などは、伝統的なクラシックバレエ。
しかし、今回は創作バレエです。
彩香さん、演技の幅を広げるチャンスと捉えています。

演出と振付を担当するのは山本康介さん。
曲や赤毛のアンの世界観からインスピレーションを受け、その場で振付を考えていきます。

彩香さん、それをどんどん自分のものにしていきます。

ところで、彩香さんはこの舞台で3人いるソリストのうちの1人。
ソリストとは、一般的に主要な役を演じ単独で踊ることもあるダンサーのことで、彩香さん、大抜擢です。

山下彩香さん
「私がソリストでいいのかという気持ちもあったんですけど、役をいただいたからにはしっかりその役になりきって赤毛のアンの舞台をたくさんの方と作り上げていきたいと思いました」

山本さんは、彩香さんの表現力には光るものがあると話します。

振付・演出担当 山本康介さん
「すごく素直に率直に楽しいというのが彼女のボディーランゲージとしてすごく見えた。自分の踊る楽しさだったりとか役柄を通して自分がどういう風に考えているかということが伝わるのが一番大事なことですね」

人前に出ることや踊ることが大好き。
彩香さんがバレエを始めたのは2歳の時でした。
その後もずっと練習を重ね、全国規模のコンクールで1位を取るほどに実力をつけてきました。

彩香さんがバレエを始めたころから知る、指導者の中川リサさんは。

鳥取シティバレエ 中川リサさん
「彼女はとにかく努力家でひたむきに練習をする。その日々の積み重ねでいまの彩香ちゃんがいるという感じ」

教室での練習は週5日。
平日は米子のスタジオで2~3時間、土日は鳥取まで通い5時間以上の練習を行っています。

山下彩香さん
「1日休んじゃうと3日前に戻っちゃうとよく言うじゃないですか。そうなりたくないので、毎日少しでもしようと思っています」

そんなバレエ漬けの毎日ですが、普段の学校生活を覗いてみると…。

バレエの時のお団子ヘアではなく髪をおろした姿は、どこにでもいる中学生の女の子。
得意な教科は英語、苦手な教科は理数系なんだとか。

学校で同級生と過ごす時間、彩香さんの心に安らぎを与えてくれます。

山下彩香さん
「友だちはいつも温かく見守ってくれて声をかけてくれる、私にとって大切な存在です」

ところで、普段の彩香さんはどんな人なんでしょうか?

同級生
「結構まとめてくれる存在です」
「どんなことにも一生懸命頑張ってて、みんなに好かれている人」

人前に出るのが好きだからか、学校では放送委員長を務めています。

「こんにちは、5月23日木曜日、お昼の放送を始めます。きょうの献立を紹介します」

何に対しても真面目で一生懸命、人望も厚い彩香さん。
バレエでの活躍を知る同級生や先生たちは、学校をあげて応援しています

彩香さんの担任 小田恭平先生
「ほかの生徒にとっても勇気づけられるようなところがあると思うので、これからも応援していきたいと思っています」

現在、バレエ教室の発表会や10月の「赤毛のアン」などを控え大忙しの彩香さんですが、さらなる成長へ向け、こんな挑戦もしています。

山下彩香さん
「アメリカのジョフリー・バレエ・スクールで3週間単位のサマースクールに参加します」

6月2日から3週間、単身アメリカへ。名門バレエ学校「ジョフリー・バレエ・スクール」で武者修行を行ったのです。

山下彩香さん
「自分がいままでやったことがないジャンルもたくさんあるので、それを学んでこれからの踊りに生かしていきたいです」

「自分の踊りで感動を与えられる ダンサーになりたい」
目標に向かい1日も無駄にすることなく新たな挑戦をし続けている彩香さん。

中学を卒業するころにはきっと一回りも二回りも成長した姿を見られるに違いありません。

山下彩香さん
「今年1年で、たくさん経験できると思うので、それをしっかり吸収して、これからの人生に生かしていきたいです。ダンサーという職業に就くにしても、小さい子に教えることも好きなので、バレエの先生になるとしても、バレエからは離れたくないです。

© 株式会社山陰放送