久しぶりのエアコン使用で“もわっと臭”?正体はカビやホコリ…試運転と蒸し暑い時期の使い方のポイントを聞いた

あと数日で7月になるが、暑い日が増えた。そこで、しばらく使っていなかったエアコンをつけたら、なんだか不快な臭いがもわっとした…。こんなことはなかっただろうか。

久々に使用したエアコンの「風がにおう」ケースはよくあるという。この“もわっと臭”の実態を把握し対策法を伝えるため、パナソニック株式会社が「2024年エアコンのお手入れと異臭に関する調査」を行い、その結果を発表した。

“もわっと臭”発生の原因は?

調査は5月8日~5月14日、エアコンを所有している20~60代の男女555人を対象にインターネットで実施。

この中で「今年のエアコン冷房利用開始時、エアコンから“もわっと臭”を感じましたか?」という質問に「はい」が49.5%、「いいえ」が50.5%と、約半数が“もわっと臭”を感じたことが明らかになった。

なおこの“もわっと臭”発生の原因は、エアコン内に溜まったホコリやゴミ、カビなどだという。原因を把握しているかの質問では、「知っている」が47.2%に対し、「知らない」は52.8%が回答。

イヤな臭いを感じているものの、その原因を理解していない人が半数を超えていたのだ。

エアコンの試運転でチェック

半数近くが経験している“もわっと臭”。エアコンが臭うということは、すなわち内部が汚れているということだ。パナソニックの担当者は「臭い=汚れと考えて、できるだけ早めに対処をしましょう」と呼びかけている。

では、具体的にどんなことを留意すれば良いのだろうか。同社の担当者に聞いた。

――久しぶりにエアコンを稼働させる時の留意点を教えて。

久しぶりにエアコンを運転する際には中に溜まったホコリやカビが一気に吹き出すことがあるので、事前にお手入れし、運転開始時には窓を開けて換気しながら10分ほどエアコンを運転させましょう。

また、夏の冷房や除湿運転使用時は特に注意が必要です。カビが好む環境は、温度20~30度、湿度60%以上と言われており、特に湿度60%以上では湿度が上がるほどカビが発生しやすくなります。

そのため、冷房運転後のエアコン内部に発生した結露はカビの成長を助けることになってしまうので、冷房や除湿運転の後には内部を乾燥させることが大切です。

パナソニックでは、熱中症対策の観点からも夏本番を迎える前にエアコン試運転を行っていただくことを推奨しています。

――エアコンの試運転とは何?

本格的な夏が到来する前にしばらく使っていないエアコン冷房が正常に動作するかチェックすることです。

例年、夏本番はエアコン購入&修理の依頼が大変混み合い、暑さが本格化する時期にエアコンなしでの生活を強いられる状況が多数発生しています。

実際に、昨夏にエアコンを購入したものの、エアコンが2週間以上使えなかったと回答した「エアコン待機者」は約3割にのぼることがわかっています。

“もわっと臭”を防ぐ方法

――では、「もわっと臭」を防ぐにはどうしたらいい?

1. まずはフィルターのお手入れをしましょう。

エアコンフィルターは、こまめなお手入れが欠かせません。エアコンの汚れはニオイの原因となるほか、能力の低下、消費電力の増加、本体の寿命を縮めることにつながります。掃除機や、汚れがひどいときはフィルターを取り外し、水洗いによるお手入れをしてください。

フィルターの自動お掃除機能がないエアコンの場合、メーカーは目安として2週間に1度の掃除を推奨しています。

2. エアコンの内部クリーン運転をお試しください。

内部クリーン機能がない場合は、普段からエアコンを使用後、3時間ほど送風運転を行ってエアコン内の乾燥を心がけましょう。送風運転であれば電気代は1時間あたり約0.5円ほどです。

3. エアコン内部にカビが生えていないかチェックしましょう。

フラップを開けて風の吹き出し口や送風路にカビが生えていないかチェックしましょう。吹き出し口や送風路にカビが付着している時には、エアコン内部や奥にすでにカビが発生している可能性が高いです。その際にはお客様自身で絶対に分解洗浄はせず、専門のエアコンクリーニングが必要です。

――つけっぱなし運転は節約できるイメージがあるが、エアコンの内部には良くない影響を与えるの?

つけっぱなし運転が節電になるというのは1日8時間エアコンを使う際に、つけたりけしたりを繰り返しながら使うよりも8時間ずっとつけっぱなしの方が節電になるという場合です。

それに対しエアコンを8時間使う場合と10時間使う場合では、当たり前ですが、使用時間の長い方が電気代がかかります。

最近では、「つけっぱなし運転の方が電気代がおトク」と聞いて、積極的につけっぱなし運転を行う方も増えています。

アンケート調査でも、「夏の間、エアコンを24時間以上つけっぱなしにすることはありますか?」という質問に、「頻繁にある」(18.6%)、「たまにある」(28.8%)と半数近くの47.4%が「ある」と回答しています。

しかし、実はこの24時間以上のつけっぱなし運転はエアコンの稼動時間が長い分、フィルターへのホコリの付着量が増える他、エアコン内部のホコリや湿気により、カビが生えやすい環境になるため、“もわっと臭”につながってしまう恐れがあります。

エアコンは内部を洗浄したり、加熱乾燥やイオンなどを内部に充満させて、ほこりの付着やカビの発生を抑制する内部クリーン機能(※)が搭載されており、お買い上げ時には運転停止後に自動で動作するように設定されているものもあります。

連続運転を行うと内部クリーン運転の機会も減ってしまうため、最低でも1日に1回は運転を停止して内部クリーン運転を活用するようにしましょう。

アンケートの中では、エアコンを24時間以上つけっぱなしにした際のエアコン内部への影響として、「カビが生えやすくなる」と正しい回答をした方は29.5%のみで、70.5%は正しく理解していないこともわかりました。

(※フィルターの自動掃除機能とは異なります。メーカーによって方法は異なります。)

蒸し暑い時期のエアコンの使い方

――蒸し暑い時期のエアコンの使い方のポイントは?

室温を下げたい場合には「冷房」を、湿度を下げたいときには「除湿」を使用いただくのが良いです。

猛暑ほど暑くはないが、「蒸し暑い」ということであれば「冷房除湿」を使用してみましょう。弱冷房ともいわれており、湿度を下げながら少し部屋の温度も下がるので、それほど気温が高くない梅雨の季節に活用してみてください。

パナソニックの担当者は、最後に「おうちのカビ対策」も紹介してくれた。

ポイントは「換気」「湿度コントロール」「掃除や家電の手入れ」の3つ。

まずはとにかく換気を意識し、エアコンの24時間換気システムを常に運転させた上で、1日1~2回は窓を開けての自然換気を行うと良いそうだ。

カビのリスクを抑えるには湿度60%以下を心がけると良いが、目安に使う湿度計は、時計に搭載されているものや100円ショップなどで取り扱っているものでも十分だという。

そして、カビの栄養源となるホコリや汚れが溜まらない環境づくりも大切。日常的な掃除はもちろん、カーテンなど布製品の洗濯、布団干しのほか、エアコンや空気清浄機といった家電類のフィルターも定期的に手入れすると良いとのこと。

これらを参考に、エアコンも上手に活用してジメジメした時期を乗り越えたい。

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