子ども中心に社会再構築 青森県・宮下知事就任1年インタビュー 「青森モデル」で閉塞感打開へ

就任1年に当たり、「青森モデル」確立への意欲を語る宮下知事

 宮下宗一郎知事は29日、知事就任から1年となった。東奥日報のインタビューで、合計特殊出生率2以上に道筋をつける「青森モデル」の確立に向け、「子どもを真ん中にして社会制度を再構築し、青森県に漂う閉塞(へいそく)感を打開するきっかけにしたい」と狙いを語った。主なやりとりは次の通り。

 -10月までに「青森モデル」を確立する。

 「このままでは人口減少で青森県が消滅してしまう強い危機感がある。将来も青森県に残りたいと考える学生や中高生が少ないことに表れているように、閉塞感も漂っている」

 「子どもへの支援は、子どもや子育て世代のためだけではない。将来の年金や介護、税収を支えるのは今の子どもたち。子どもへの投資は未来への投資だ。『青森モデル』を、子どもを真ん中にして社会制度を再構築するきっかけにしたい。子どもたちの成長をみんなで応援することで閉塞感を打開したい。子育て費用の負担軽減にとどまらない、総合的な政策になる」

 -就任2年目に絶対にやると考えていることは。

 「やはり経済・雇用政策が大事。若者の定着還流の取り組みがスタートする。県内の全大学を集めた協議会をつくり、その中で真に迫る政策を立案し、事業化する流れをつくりたい。結果が出るのはしばらく先かもしれないが、早めに取りかかりたい」

 -教育改革をどう進めるか。

 「人口減少で子どもの数はどんどん減っていく。その中で学校を維持するために、どのような在り方がふさわしいか、県教育改革有識者会議で集中的に議論してもらいたい。県立高校再編と入試をセットとして、答えを見いだしてほしい」

 -統合新病院、新県営野球場の整備地はどのような場所が望ましいか。

 「全県の施設になるのでそういう観点が必要だということと、できるだけ多くの皆さんから意見を聞くようにしていきたい。大事なことは議論がオープンになって、民主的なプロセスを経て決まっていく環境をつくったこと。みんなが極力納得できるような結論にしたい」

 -各種施策を進めるための政治基盤をどう築くか。

 「知事選を通じて、あるいは知事になってからの活動を通じて、志を同じくする仲間が全県に広がった。後々このメンバーが自分の力になってくれると思う」

 「自分自身を客観的に見ると、まだ47(都道府県知事)分の1にはなっていない。著名な市町村長も入れた首長の中で100分の1にもなっていないかもしれない。もっと工夫や学びが必要で、皆さん(報道機関)との関係も考えなければいけない。そう思ってこの1年、試行錯誤してきた。2年目はそういうところもうまくできるようになりたい」

 -かなり気が早い話だが、2期目に関しては。

 「1期目しっかりと実績、結果を残して、しかるべきタイミングで考えていくことじゃないかと思う」

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