米最高裁、議事堂襲撃巡る妨害罪の適用に制限

米連邦最高裁が、米議会議事堂襲撃事件を巡る妨害罪の適用を制限する判断を下した/Andrew Harnik/Getty Images

(CNN) 米連邦最高裁は28日、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件で議事堂に突入した数百人を「公的手続き妨害罪」で訴追したのは司法省の行き過ぎだとする判断を下した。これを受け検察は、一部の裁判についてやり直しを迫られる可能性がある。

同時に最高裁は、暴徒への訴追が可能になるのは検察側が暴徒の意図を証明できる場合だと指摘。暴徒が議事堂への侵入だけでなく、大統領選の結果の認証手続きも阻止しようとしていたことを証明する必要があると判断した。

判断は6対3で、保守派判事5人とリベラル派判事1人が支持。保守派1人とリベラル派2人が反対に回った。

ロバーツ首席判事は起訴につながった議事堂襲撃事件にはほとんど触れず、当該の法律にある条文の詳細な議論に注力した。その上で議事堂への侵入により連邦議会の議員らは避難を余儀なくされ、選挙結果の認証手続きが遅れたと指摘した。

ただ条文が示唆する内容に、いかなる形であれ司法妨害を犯した事実上全ての被告に対して最大で禁錮20年の刑を科すことを想定した記述は一切ないとも主張。これらの被告にはより限定された妨害罪の規則の下、より軽い刑罰が適用される可能性があると記した。

一方、20年大統領選の結果転覆を巡る罪でトランプ前大統領を訴追したジャック・スミス特別検察官は、トランプ氏による議会手続きの妨害について、暴徒らの行動よりずっと広範囲に及ぶものだったと主張している。大統領選の投票日から計画を立て始め、選挙結果に関する偽りの証明書も利用したと指摘。これらの証明書は全米各地の州から送られてきたという。

それでもトランプ氏の弁護士チームは28日の最高裁の見解に準じ、事実審に差し戻しになった場合には訴訟に対し部分的に異議を唱える公算が大きい。

連邦検察によれば、28日の判断の中心となる妨害罪に絡んで係争中の訴訟は約249件。この罪状を唯一の重罪としてこれまで約52人が有罪となり、量刑を言い渡された。うち27人は現在も収監されているという。

© 朝日インタラクティブ株式会社