“わずか50字”にハッとさせられる…金子みすゞの短い詩、「木」の意味

(※写真はイメージです/PIXTA)

文章を読んでいて、「これはどういうことだろう?」「作者は何を言いたいんだろう?」といったモヤモヤを抱えたことはありませんか? インプットした情報を正しく読み解く力=「読解力」が高いと、このモヤモヤに対する答えがわかります。齋藤孝氏の著書『12歳までに知っておきたい読解力図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、短い文章を題材に読解力のトレーニングをしましょう。子どものみならず、大人の読解力アップにも役立つ内容です。

<本稿の読み方>

まずは作品をゆっくり丁寧に読もう。作品の世界に深く入り込める音読もオススメだよ。次に、作品の下にある「読み解きクエスチョン」を読んで答えを考えてね。解答が決まったら答え合わせをしよう!

詩を読み解こう①

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「木」 金子みすゞ

小鳥は

小枝のてっぺんに、

子供は

木かげ(こかげ)の鞦韆(ぶらんこ)に、

小ちゃ(ちっちゃ)な葉っぱは

芽のなかに。

あの木は、

あの木は、

うれしかろ。

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【読み解きクエスチョン】

Q. どうして作者は木が「うれしいだろうな」と感じたんだろう?

(ヒント:木の気持ちになって、詩の前半部を読み返してみよう。)

答えは…

A. (例)鳥や子どもの遊び場になったり、葉っぱを育んだり、木が役に立っているから

【解説】

一緒に遊んでいる相手が喜んでいると、自分もうれしいよね。お手伝いをして、誰かに喜んでもらうのもうれしい。こういった心の動きは、物言わぬ木にもあると作者は想像したんだね。

生きていくための支えとなる目標や張り合いを「生きがい」と表現するけれど、この木にとっては自分が役に立つことが生きがいなのかもね。キミにとっての生きがいはなんだろう?

イラスト:森のくじら
出所:齋藤孝著『12歳までに知っておきたい読解力図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)

詩を読み解こう②

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「草に すわる」 八木重吉

わたしの まちがひ(まちがい)だった

わたしのまちがひだった

こうして 草にすわれば それがわかる

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【読み解きクエスチョン】

Q. どうして作者は自分が間違っていたとわかったんだろう?

(ヒント:怒ったり悲しんだり、興奮しているときには気付けないよね。)

答えは…

A. 草に座って気持ちが落ち着いたから

【解説】

誰にだってミスはあるけれど、そのミスを認めることが難しいときもあるよね。怒りや恥ずかしさで気持ちが高ぶっているときはなおさらだ。作者は草の上に座って深呼吸をしたんだろう。ひと息ついて落ち着きを取り戻し、自分の行動を振り返った結果、間違っていたことを素直に受け入れられたんだね。

もし間違いを指摘されてかっとなったら、キミも深呼吸をしてみよう。

イラスト:森のくじら
出所:齋藤孝著『12歳までに知っておきたい読解力図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)

齋藤 孝

明治大学文学部教授

1960年静岡県生まれ。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。著書に『語彙力こそが教養である』『小学3年生から始める! こども語彙力1200』(いずれもKADOKAWA)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)、訳書に『現代語訳 論語』(ちくま新書)、『12歳までに知っておきたい語彙力図鑑』『12歳までに知っておきたい言い換え図鑑』『12歳までに知っておきたい読解力図鑑』(いずれも日本能率協会マネジメントセンター)など多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。

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