「地方公務員」1年目ですが、6月の賞与が「12万円」でした。毎月赤字なので「ボーナス」をあてにしていたのですが、民間企業のほうが多くもらえますか…?

地方公務員の6月の賞与

公務員の賞与は、地域や役職、学歴などによって大きく異なります。今回は、田舎の地方公務員の事例ということで、「町村で勤務する1年目の職員(大卒)」を想定します。

総務省の統計「令和5年 地方公務員給与実態調査」によれば、町村で勤務する勤務1年未満の一般行政職の平均月額給与は18万5797円です。

地方公務員の賞与は、多くは国家公務員の基準にもとづいて支給されます。

人事院の「令和5年 給与勧告の骨子」のデータによると、令和6年度以降の6月期末手当・勤勉手当は給与月額の2.25ヶ月分となっています。

給与月額を18万6000円とした場合、6月の賞与支給額は18万6000円×2.25ヶ月=41万8500円と推測できるでしょう。

しかし、4月に入職した1年目の職員の場合、在籍期間が短いため満額が支給されるわけではありません。在籍期間が2ヶ月以上2ヶ月15日未満の場合、支給額は約3割となります。このことから、6月の賞与は41万8500円×30%=12万5500円 と推測されます。

ここから社会保険料などが差し引かれるため、手取り額はさらに少なくなります。

民間企業の6月の賞与

では民間企業の夏の賞与は平均どれくらいなのでしょうか。

株式会社産労総合研究所の「2023年度 決定初任給調査」によると、調査対象となった3000社のうち約86.1%の企業が「新入社員に何らかの夏季賞与を支給する」と答えています。その平均額は大卒で9万6732円でした。

民間企業も公務員と同様、4月入社の新社会人の場合、夏の賞与の算定期間が短くなります。夏の賞与が少なくなるのはある程度仕方のないことだと言えるかもしれません。

転職は長い目で見て判断を

4月入社の新人の場合、在籍期間が短くなるため、6月の賞与を期待以上にもらえない可能性があります。

夏の賞与の平均は、地方公務員の場合約12万円、民間企業の場合約9万円です。地域や業種によって異なるため一概には比較できませんが、そこまで大きな差がないと言えるでしょう。

公務員は大幅な減給や解雇の心配も少なく、安定して収入を得られるのがメリットです。勤続年数が増えれば賞与も増えることが予想されます。その代わり大きな成果を出したとしても、大幅に収入が上がる可能性は少ないでしょう。

一方、民間企業は自分の能力に応じて収入が跳ね上がる可能性もあります。成績が賞与に大きく反映される場合、人によってはやりがいを感じるでしょう。しかし、それがプレッシャーになって働きにくさを感じる人もいるかもしれません。

いずれにしても「思ったよりも賞与がもらえなかった」という理由で安易に転職を検討するのはおすすめできません。今後の収入の見込みや仕事のやりがいなどを考え、慎重に判断するようにしましょう。

出典

総務省 令和5年 地方公務員給与実態調査
人事院 令和5年 給与勧告の骨子
e-Gov法令検索 人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当)
産労総合研究所 2023年度 決定初任給調査

執筆者:山田麻耶
FP2級

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