6Gでスマホやモバイル通信はどんな新体験を実現する? クアルコムが国際会議で示す構想

by 島田 純

米クアルコムは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)が5月にオランダ・ロッテルダムで開催した国際会議「3GPP Stage-1 Workshop on IMT2030 Use Cases」に参加し、その会議の概要や、クアルコムが描く6Gのビジョンなどを公式ブログで発表した。

「3GPP Stage-1 Workshop on IMT2030 Use Cases」の会場は満員になったという

会議の概要

3日間の会議中、さまざまな組織が異なる目標やユースケースに焦点をあて、6Gに関する見解を発表した。

5月8日(1日目)は、通信事業者とその関連事業者に特化した日で、GSMAとNGMN(Next Generation Mobile Networks)によるプレゼンテーションが行われた。続いて、自動車、産業用5G、マルチメディア、衛星通信、公共安全、ワイヤレスブロードバンドなど、特定の業界における6Gの可能性を模索する組織によるプレゼンテーションが行われた。

5月9日(2日目)は、日本のXGモバイル推進フォーラム(旧:Beyond 5G推進コンソーシアム)など、韓国、中国、インド、欧州、北米の合計6つの組織がプレゼンテーションを行った。これらのプレゼンテーションでは、6Gにおける各地域ごとの優先事項、イノベーションや6Gで実現したいことなどに焦点があてられた。

5月10日(3日)は、ITU-R(国際電気通信連合 無線通信部門)と3GPPによる、IMT-2030に向けたそれぞれの標準化機関の計画に関するプレゼンテーションと、3日間にわたるワークショップを締めくくる最終討論が行われた。プレゼンテーションのあとにパネルディスカッションと質疑応答の機会が設けられ、パネルディスカッションにはクアルコムのWanshi Chen氏や、3GPPの3つの検討グループのグループ長らが参加した。

6Gの目標

各地域の研究機関や通信事業者のプレゼンテーションでは、それぞれの視点から6Gがもたらす最も興味深い機会が強調された。これらの研究機関などは、6Gが単一の世界標準として、5Gシステムの上にどのように構築され、社会変革を可能にするかに焦点をあてている。

6Gは、今後10年以上をかけて、経済成長、テクノロジーの進歩、コスト効率、社会的公平性、環境持続可能性、信頼性などの目標を達成することが予想されている。

6Gのユースケースと機能

6Gでは、通信の枠を超えた強化されたシステム機能をサポートし、大きな飛躍が期待されている。

ITU-Rによって定義されたIMT-2030フレームワークは、6Gの初期ビジョンを設定し、将来の無線技術の目標を形作るべき主要なシナリオと性能測定基準を概説している。

ワークショップで議論された主なユースケースは、没入型体験、デジタル ツイン、スマート産業とロボット工学、固定無線アクセス、次世代IoT、公共の安全に関する重要な通信、その他の新しい展開とユースケースなどに分類される。

6Gに向けたロードマップ

今後の展開

3GPPでは、次のステップはSA WG1で行われ、サービスの要件定義の準備が行われる。その後、RANとSAによる作業が続き、2025年に技術ワークショップと調査が行われる予定。

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