1000円で回収を依頼していた「粗大ごみ」を、近所の人に持ち去られた!「捨ててあるんだから拾っても問題ない」とのことだけど、本当に問題ない?「違法」になるのはどんな場合?

基本的に粗大ごみを持ち帰って罪に問われることはない

結論から述べると、ごみ捨て場に捨てられている粗大ごみを持ち帰ったとしても、法的に罪に問われるケースは多くありません。なぜなら、ごみ捨て場に粗大ごみを廃棄した時点で、粗大ごみは無主物、つまり所有権がない状態になるためです。

極端な例を挙げると、道に落ちているタバコの吸い殻を拾っても、タバコの吸い殻の持ち主がいないため窃盗罪が成立しないのと同じです。そのため、ごみ捨て場に捨てた粗大ごみが持ち帰られたことを警察に相談しても、対応してもらえない場合があります。

粗大ごみの持ち去りが違法になる場合

粗大ごみの持ち去りに対して罪に問うことはほぼできないと言われても、お金を払って粗大ごみの回収を依頼した立場からすれば、簡単に納得することはできないでしょう。また、自分の使っていたものが他人の手に渡るという点で不快に感じたり、プライバシーの侵害では?と思ったりする人もいるでしょう。

状況によっては、粗大ごみを勝手に回収した責任を問える場合があります。責任を問えるケースは、以下の通りです。

看板が設置されている

ごみ捨て場によっては、持ち去り禁止の看板が設置されている場合があります。看板が設置されていると、そこに捨てられるごみの所有権は放棄されていないと考えられます。

もし看板の存在を知っていた上で粗大ごみを勝手に持ち帰ると、刑法235条の窃盗罪に該当し、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金が課される可能性が高いです。

敷地内にあるごみ捨て場から粗大ごみを持ち帰る

マンションのごみ捨て場をはじめ、敷地内にあるごみ捨て場に捨てられた粗大ごみは、管理者の占有が認められる可能性が高いです。その場合、管理者の占有を勝手に奪ったとして、やはり刑法235条の窃盗罪に該当します。

また、マンションの住民でない人が持ち帰った際には、勝手に敷地内に侵入したことに対して、刑法130条の住居侵入罪が成立し、3年以下の懲役、または10万円以下の罰金を課される可能性もあります。

自治体で禁止されている

最近では、自治体の条例で粗大ごみの持ち去りを禁止しているケースも少なくありません。この場合、所有権や占有の有無にかかわらず、ごみを持ち帰った時点で犯罪として処罰されます。とくに自治体の条例では、公共のごみ捨て場に放棄された資源ごみの持ち帰りに対して厳しいルールを設けている場合が多いです。

粗大ごみの持ち去りを防ぐ工夫が重要

粗大ごみを有料で出したとしても、ごみとして廃棄した以上、所有権を失います。第三者に勝手に粗大ごみを回収されても、特定の条件下でない限り、法的な責任を問うことは簡単ではありません。

そのため、有料で粗大ごみを出す場合は、勝手に回収されないようにすることが大切です。例えば、夜中に粗大ごみを出すと人目がないため第三者が持ち帰る可能性が高まりますが、ごみ回収時刻の直前に粗大ごみを出せば、そのリスクを抑えることができます。予防策を講じて、余計なトラブルに巻き込まれないようにしましょう。

出典

e-Gov法令検索 刑法

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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