増える「リターンライダー」、体力過信禁物 バイク事故死傷者、25%が50代

 県内で過去5年に発生したバイク事故(排気量125cc以上)で、50代の死傷者数が全体の約4分の1を占めることが県警交通企画課への取材で分かった。かつて乗っていた中高年が再び乗る「リターンライダー」が近年増加。体力などの衰えに気付かず、若い頃の感覚のまま運転し事故につながるケースがあるという。県警などは自身の体力などを過信せず、無理のない運転を呼びかけている。

 同課によると、排気量125cc以上のバイクが絡む事故は2019年~23年に249件発生している。年間40~60件弱で推移している。死傷者数は245人(うち死者11人)で、ツーリング中などが119人と最多だ。死傷者数を年代別でみると、最も多いのは20代の63人(25.7%)だが、50代60人(24.5%)、40代41人(16.7%)と続く。運転し始めてから年数の浅い若者だけでなく、中高年のライダーも事故の当事者として多くを占めている。

 二輪車の販売・修理を行う「RSS shin」(山形市)では、バイク購入を検討する客の約6~7割が50代以上となっている。自分の趣味を楽しもうと、若い頃に乗っていた人たちが再び乗り始める人が多く、交流サイト(SNS)上で知り合い、ツーリングをするケースも増えている。一方、相手のペースに合わせ無理をし、事故を招く懸念もある。担当者は「かつての感覚で乗りこなせるとは限らない」と指摘する。

 JAF山形支部によるとリターンライダーは、大型や昔乗っていたバイクと異なる型を運転する際に特に注意が必要だという。判断力や運転技術は、衰えていることも多く、同支部推進課事業係の野川智伸さん(52)は「ツーリングの際はあらかじめ休憩地点を決めておくと焦らず楽しめる」と話す。

 今年5月末現在の死傷事故は20件(速報値)発生しており、前年同期比で4件増えている。4月には上山市内で大型バイクが転倒し、運転していた男性が死亡する事故も発生した。県警や同支部はスピードの出し過ぎなどに気を付けて、安全なツーリングを楽しんでほしいとしている。

幅広い年代のライダーが参加した二輪車の安全講習会=今年6月、天童市・県総合交通安全センター

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