杉田雷麟&寛一郎、撮影中に熊に遭遇 劇中とシンクロのハプニング

寛一郎、杉田雷麟、飯島将史監督

俳優の杉田雷麟寛一郎が29日、渋谷のユーロスペースで行われた映画『プロミスト・ランド』(公開中)初日舞台あいさつに飯島将史監督とともに出席し、撮影中に実際に熊を目にしたエピソードについて語った。

飯嶋和一がマタギ(熊を狩る知識と伝統的な技術をもつ狩猟者)を描いた小説に基づく本作は、東北に暮らす二人の青年が、禁じられた熊狩りにひそかに挑むさまを描くヒューマンドラマ。本作の舞台となる山形県庄内地方のマタギ衆に密着したドキュメンタリー『MATAGI-マタギ-』の飯島将史監督がメガホンをとった。大勢の観客で埋まった会場内を見渡した杉田は「こんなにも多くの方に来ていただいて、すごくうれしいですし、これから映画が始まるので。この映画をもっと発信できるように頑張っていきますのでよろしくお願いします」とあいさつ。続く寛一郎も「撮影は1年くらい前だったんですが、今日ようやく公開することができました。今日はよろしくお願いします」と晴れやかな顔を見せた。

そんな山形での撮影の日々を「去年の5月くらい。ちょうど雪解けのタイミングで山形に行ったんですけど、本当に天気が良くて。雪の照り返しがすごくて、日焼けをしてしまい。最終的には松崎しげるさんくらいになってしまいました」と寛一郎が冗談めかして報告すると、飯島監督も「松崎さんになったら撮影にならないけどね」とツッコんで会場は大笑い。

一方の杉田は、共演した寛一郎について「僕はお兄ちゃんみたいに慕っていました」と語ると、「うそですよ。なめられてましたよ」と笑う寛一郎。そしてあらためて杉田は「芝居についてもそうですし、セリフがないシーンでも、寛ちゃんはちゃんと監督と話をしていて。現場のあり方とかもすごく勉強になりました」と振り返った。

山に入り、熊狩りに向かう青年の姿を描いた本作。「熊を発見するシーンがあったんですけど、本当に熊を見つけたんです」と明かした寛一郎は、「双眼鏡を見ていたら本当に熊がいたんです。撮影直前なのに、猟友会の人が奮い立ってしまって。撮影の監修をしなきゃいけないのに、ずっと熊を見ていて。ただ猟友会ごとに管轄があるみたいで。対岸の山だったんで、『あれはいけないですね』って言っていました」と報告。すると飯島監督も「撮影中だから行かれても困るけどね」とツッコんで会場も大笑い。

その時の様子は杉田にとっても印象深かったようで、「僕もそのシーンはすごく覚えてて。テストの時か段取りの時だったか忘れたんですが、寛ちゃんが立ち上がって。『熊だ!』と言い始めて。『どんな芝居?』と思ったんですけど、振り返ったら『熊がいる!』と言ってて。本当にいるんだと。それは印象に残っていますね。僕自身もちょっと現実離れしていて、実際に熊がいるのを見るのも初めてだったので。ちゃんと生命が息づいているんだなと思って、感動してましたね」としみじみ。寛一郎も「マタギ監修の猟友会とは熊狩りに2、3回同行しているんですけど、撮影前には一度も見つけられなかったのに、まさか撮影中に見つけられるとは。運のいい現場だったと思います」と振り返った。

この日は本作のタイトルにちなみ、「今、果たしたい約束は?」というお題でトーク。杉田は「(俳優を)始めたころというか、3、4年前からずっと監督になりたいと言ってて。でも映画をやればやるほど、そんなに簡単に言える話じゃないなと思って。でもいろんな俳優さんから、若い世代が撮っておいた方がいいと言われて。ここ最近も、キャストさんやスタッフさんにすごく恵まれていて。僕自身も脚本を書いてみて、友人になった監督さんに脚本を見せたりもしながら。若いスタッフさんたちの熱い思いを聞きながら。やるんだったら本気でやらないといけないなと思った」と語ると、「なので、映画を撮って皆さんにお見せする、ということを皆さんの前で約束したいなと思います」と決意のコメント。大きな拍手が鳴り響く中、「すごいのぶっこんできたね」と感心した様子の寛一郎が「杉田君の映画に出してもらえないかなと思いました」とラブコールを送っていた。(取材・文:壬生智裕)

映画『プロミスト・ランド』は全国順次公開中

© 株式会社シネマトゥデイ