「ELLE ACTIVE! FESTIVAL 2024」でリケジョのスプツニ子!が指摘! AIにまだまだ女性データが足りない実情

世界45の国と地域で刊行されている女性誌「エル(ELLE)」の日本版「エル・ジャポン」が29日、東京・港区の麻布台ヒルズ森JPタワーで「ELLE ACTIVE! FESTIVAL2024」を開催し、トークイベントが行われた。

同誌は創刊35周年。同時に、「ELLE ACTIVE!」の前身となるイベント「ELLE WOMEN in SOCIETY」の初開催から10年という節目でもあることを記念したイベントで、トークセッションや展望フロアには来場者全員が立ち寄れるブースコーナーなどが設置された。

「AI時代のライフデザイン 隠されたジェンダーバイアスに気付こう!」をテーマにしたトークショーに登壇したのは、同誌「エル・デジタル」編集長・坂井佳奈子さん、横浜国立大学客員教授で東京大学大学院理学系研究科特任准教授も務める佐々木成江さん、アーティストでCradle代表取締役社長でもあるスプツニ子!さん。

佐々木さんは、科学・技術分野における研究や開発における、「ジェンダード・イノベーション」について解説。「ジェンダード・イノベーション」とは、性差に基づくという意味の「ジェンダード」と知的創造と技術革新意味する「イノベーション」を組み合わせた造語。これまでは、薬の処方の臨床や車の衝突安全性試験において、男性の平均身長や体重をもとに実験が行われ、女性に安全性で不利益が生じがちな状況があったという。これからは、積極的に性差分析を組み込んでいこうということ。「それによって、心筋梗塞の男女での症状の違いなどが分かってきたり、だんだんと世界が変わってきている」と話す。

「理系の志す女性が日本は少ない。そうすると、研究者に女性の視点が足りないと」と話すのはスプツニ子!さん。女性の研究者が最近になって、ようやく妊婦のつわりの原因を究明した事実を挙げた。

また、AIを使った機械学習でも女性のデータが足りないことからくる「性差」がまだまだあるという。坂井さんも「AIはどちらかというとジェンダーの問題を引きずってしまう。AIを使った人事採用システムを開発していたら、女性というキーワードが入ると採用率が下がってしまったり」と実情を語る。

最新のChatGPTでもその傾向は顕著で、スプツニ子!さんは、実際に「看護師」や「医師」というキーワードでAIにイラストを生成させると、前者は女性のイラストを、後者は男性ばかりのイラストを生成することをボードで示し、「今後も、注意していかなくてはいけない問題」と指摘した。

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