16歳久保凛「憧れの選手より早くゴールできて自信に」 田中希実らに競り勝つ衝撃レースで漂う大物感【陸上日本選手権】

2着の卜部、3着の田中を突き放して1着でゴールした久保凛【写真:奥井隆史】

陸上日本選手権

今夏のパリ五輪代表選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権第3日が29日、新潟・デンカビッグスワンスタジアムで行われた。女子800メートル予選では、初出場の16歳・久保凛(東大阪大敬愛高2年)が全体1位の2分3秒60で3組1着で決勝進出。果敢に逃げを打ち、2分4秒36で3着に入った田中希実(New Balance)ら実力者を突き放す衝撃のレースだった。30日に決勝が行われる。

スーパー高校生が圧巻のレースを演じた。1レーンの久保はスタートから果敢に飛ばし、オープンレーンで先手を立った。後続を5メートルほど引き離す逃げを展開。1周目のホームストレートになると田中が2位集団の先頭につけ、久保を追った。2周目のバックストレートは久保に田中がぴったりマーク。さらに卜部蘭も加わり、激しいデッドヒートになったが、最後の直線で久保が逆にもうひと伸び。2着の卜部、3着の田中を逆に突き放し、会場をどよめかせた。

レース後、20人ほどの報道陣に囲まれ、久保は「率直にとてもうれしい。全体1位のタイムでゴールできたのはとても良かった」と笑顔を弾ませながら、喜びを語った。「(卜部、田中ら)自分の憧れの選手と走ることができるのは自分にとってうれしいこと。こういう試合を大切にしてきたい。憧れの選手よりも早くゴールできたことは自信になると語った」と振り返り、「緊張はするけど、プレッシャーは感じていない。注目を浴びることもあまり意識していないし、どっちにも感じないです」と大物感を漂わせた。

久保は2008年1月20日生まれ、和歌山・串本町出身。東大阪大敬愛高に進み、昨夏の全国高校総体(インターハイ)は1年生ながら優勝を飾った。今年4月の金栗記念では田中に勝利。5月の静岡国際でU18日本新を出し、木南道孝記念も制するなど、トップ選手を抑えてグランプリシリーズ3連勝中だった。自己ベストは2分3秒50。16年福田翔子以来8年ぶりの高校生女王誕生の期待も高まっていた。

小学生時代はサッ カーに打ち込み、中学から本格的に陸上を始めた。日本代表MF久保建英をいとこに持つ。

2着の卜部は2分4秒09。3着の田中はタイムで拾われ、決勝に駒を進めた。

24歳の田中は28日の1500メートルで5連覇。4分01秒44で参加標準記録4分02秒50を突破し、5000メートルに続く2種目めの代表に内定した。3年連続4度目の優勝が懸かる5000メートル決勝は午後5時55分から行われ、勝てば1500メートルを含め3年連続2冠となる。

THE ANSWER編集部

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