伊藤匠新叡王が日本シリーズ初出場!開幕戦で関西強豪の稲葉陽八段と激突/将棋・JT杯

将棋日本シリーズJTプロ公式戦の1回戦第1局が6月29日、宮城県仙台市の「夢メッセみやぎ展示ホール」で行われ、伊藤匠叡王(21)と稲葉陽八段(35)が対局を開始した。20日に叡王戦五番勝負を制した伊藤叡王にとっては、本局がタイトルホルダーとしての初陣となる。強敵の稲葉八段を相手にどのような戦いぶりを見せてくれるのか、開幕戦にふさわしい好カードに大きな注目が集まっている。振り駒の結果、先手番は伊藤叡王に決まった。

【映像】伊藤叡王VS稲葉八段 注目の日本シリーズ開幕戦!

伊藤叡王は、2020年10月に四段昇段。竜王戦1組(1組:1期)、順位戦B級2組。棋戦優勝は新人王戦で1回。2023年度は竜王戦七番勝負、棋王戦五番勝負と2つのタイトル戦に挑戦し、将棋大賞の「優秀棋士賞」に選出。さらに年度69局で最多対局賞、51勝で最多勝利賞を獲得したほか、第49期棋王戦第1局などにおける持将棋定跡が升田幸三賞にも選ばれれた。さらに、2024年度の第9期叡王戦五番勝負で藤井聡太竜王・名人を破り、自身初となるタイトルを獲得。将棋界のトップランナーとして、今後の躍進に期待が高まっている。JT杯日本シリーズは今期が初出場。少年時代の2010年に子ども大会東京大会で優勝経験があり、プロとしてJT杯に“凱旋”を果たした。

対局前には、「子どもの頃から憧れの舞台で、出場を楽しみにしていました。稲葉八段は早見えの将棋で気づきにくい好手を指される印象。見ている方の参考になる将棋を指せれば」と意気込みを語った。

稲葉八段は2008年4月に四段昇段。竜王戦1組(1組:8期)、順位戦A級(A級以上:7期)。2017年に名人戦七番勝負に挑戦した経験を持ち、棋戦優勝は銀河戦、NHK杯の通算2回。安定した力を発揮する居飛車党で、各棋戦の上位の常連だ。JT杯は3年連続4回目の出場で、初優勝が目標だ。対局前のインタビューでは「伊藤叡王はタイトルを獲られて改めて充実されている印象がある。緊張感高まっているが、一局でも多く指せるように頑張りたい」と表情を引き締めていた。

両者の公式戦対戦はこれまでに3局あり、伊藤叡王の2勝1敗。現在、伊藤叡王が2連勝中だ。注目の開幕戦を制し、2回戦に駒を進めるのはどちらか。本局の勝者は、8月3日に行われる2回戦第1局福岡大会・永瀬拓矢九段(31)戦に進出する。

JTプロ公式戦は前年覇者、タイトルホルダー、賞金ランキング上位者から12人が選出されるトップ棋士たちによるトーナメント戦。前年大会は藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋王、王将、棋聖)が決勝戦で糸谷哲郎八段を破り2連覇を達成した。持ち時間は各10分、切れたら1手30秒未満、各5分の考慮時間。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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