品田彩来、女子サッカーを引退し藍染の世界へ スペインで環境問題や差別問題に直面し引退決意の過去明かす

「ELLE(エル)」のプラットフォーム「ELLE ACTIVE!」が主催するイベント「ELLE ACTIVE! FESTIVAL 2024(エル アクティブ フェスティバル)」が29日、東京の麻布台ヒルズで開催され、「スローなファッションを楽しもう。消費の新しいカタチ」と題したトークショーにエシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙、元アスリートで藍染師の品田彩来、『サーキュラーエコノミー実践(学芸出版社)』著者の安居昭博が出席した。

エル・ジャポン創刊35周年や、「ELLE ACTIVE!」 の前身となる働く女性のためのイベント「ELLE WOMEN in SOCIETY」の初開催から10年という節目の年に開催された本イベント。トークショーでは近年の早すぎる消費サイクルが地球に多くの負担をかけていることをテーマとし、「背景を知って長く着る」「新しく買う以外の選択肢を楽しむ」など、現代が必要とするスローファッションの始め方を問いかける内容で3人が意見を交わした。

品田は海外のチームに所属するなど、女子サッカー界のエリート選手であったが、そのキャリアを捨て、藍染師の世界に飛び込んだ異色の経歴を持つ。なぜ違った世界に飛び込もうかと思ったかを問われると、「藍染師になろうと思ってサッカーをやめたわけではないんです。地球環境に著しい危機感を感じて、自分で何かをしたくなったからです」と転職を決意した理由を明かす。

当時、27歳で、スペイン女子サッカーの強豪チームに所属していた品田だが、当初は夢の舞台で戦える喜びもあり、サッカーをやめる気は無かったという。だが、続けていくうちに心に変化が起こる。「やめる気は無かったけど、環境問題への配慮がなかったり、差別があったりすることを裏側から見るようになった時に、『これが夢だから』と目をつぶって(サッカーを続けることを)押し通すことはできなかった。このままやり続けるとなったときにすごくストレスを感じて、じゃあシフトしよということで引退をしました」と話す。

サッカーをやめた後、もう一度、いろんなことを勉強しなおそうと意欲も湧いたが、そんな中、草木染めと出会い、そこから藍染の存在を知る。「今は藍染は薬品で染めるんです。環境にはあまり配慮がないんです。でも、昔は発酵によるもので、(リサイクルなどの)循環にも優れていた。発酵による藍染をやれば農業やアパレルにも関われるし、やりがいがあるのではないかと、強い魅力を感じて藍染師としてやって行こうと思いました」と述べる。

会場では品田の藍染に取り組む様子などが写真を使って紹介された。品田は「今、やっと4年目。楽しんでやっているでしょうと言われるけど、この藍染の世界をどこまで知ってもらえるかに取り組んでいるところです。藍染について知らない人が多いので知ってもらえるよう頑張っていきたいです」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)

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