原爆投下後の広島が舞台「TWO IN HIROSHIMA 広島の二人」 島根県出身の映画監督・錦織良成さんが制作発表 2026年に全国公開

発表会見後、記念撮影する保坂延彦さん(左)と錦織良成さん=広島市中区、広島商工会議所

 出雲市出身の映画監督、錦織良成さん(62)が26日、原爆投下後の広島を舞台とした映画でメガホンを取り、2026年に全国公開する考えを明らかにした。「原爆の現実を届けたい」と話す。

 題名は「TWO IN HIROSHIMA(ツー・イン・ヒロシマ) 広島の二人」で、投下から80年となる25年に撮影する。

 原作は映画監督の保坂延彦さん(79)著の小説「広島の二人」。日本国内の捕虜収容所を脱走した米国兵と、単身で追跡する日本人軍曹が次第に心を通わせるようになるが、原爆の悲劇に直面する物語だ。

 黒澤明監督の映画で多くの脚本を担当した菊島隆三さん(1914~89年)が、保坂さんの映画用に書いたが、多額の製作費などが難点で映像化に至らなかった。保坂さんは2020年、小説として出版した。

 錦織さんによると昨年11月、広島市内でのイベントで地元の映画関係者に勧められ映画化を決めた。配役は未定だが、既に数人の俳優に声をかけ、好反応を得ているとした。制作は映画プロダクションの護縁(出雲市平田町)が手掛ける。

 錦織さんは26日に広島市内で会見し「被爆後の広島を作品とすることには、日本人の作り手として大きな責任を感じる。覚悟を持って撮影に臨み被爆地の思いを広く届けたい」とした。同席した保坂さんは「映像化は半ば諦めていた。錦織監督にお任せし、完成をただ待ちたい」と期待した。

© 山陰中央新報社