“相撲の里”から個人80kg級で日本一目指す高校生 小柄な体ながら「前後際断」の精神で立ち向かう【愛媛発】

愛媛の「相撲の里」西予市野村町で、小さい頃から土俵に上がり続けた高校生が全国準優勝で満足せず、80kg級で日本一を狙い稽古に精進している。
「小柄な体でいかに大きい相手を倒すか」、過去も未来も考えずに今だけに集中する“前後際断”の精神でインターハイに臨む。

誰よりも真面目に 手を抜かず丁寧に

西予市にある野村高校は、毎年のように全国トップレベルの選手を輩出するなど、愛媛屈指の相撲の強豪校として知られている。実力者がそろう部員の中、練習場で力強い四股を踏むのは、2年生の三瀬櫻選手。体重別個人戦の80kg級で日本一を目指している注目の選手だ。

三瀬選手は、「初めはなかなか勝てなくて悔しい思いをした時もあったんですけど、中学2年生の頃から結果も出てきて自信につながって、どんどん楽しくなってきました」と話す。

西予市野村町は相撲が盛んな地域で、三瀬選手も小さい頃から土俵に上がり、中学から相撲部に所属し、日々稽古に打ち込んできた。

三瀬選手について、野村高校相撲部の鎌谷健太郎監督は「基礎練習を誰よりも真面目に手を抜かず丁寧にやる。そういうところが地力がついてきている証拠だと思います」と評価する。

高校初の全国大会で準優勝も満足せず

高い意識でコツコツと重ねた努力が結果に結びつき、学年が上がる前の2024年3月、高校生になって初めて出場した全国大会で準優勝に輝いた。

その時の心境について三瀬選手は、「全国優勝を目指して取り組んできたので、準優勝になった時は悔しかったですけど、次につながる相撲が取れたのでよかったと思います」と語った。

三瀬選手は身長170cm、体重78kgと相撲では小柄で、練習相手のほとんどが自分より大きい選手だ。

三瀬選手は「大きい相手にどんどん動いて、相手の横について自分からどんどん仕掛けていく。絶対に正面で戦ったら負けてしまうので、横に動く動きとかも80kg級でも相手の横についてというところにつながっていい稽古になっていると思います」と話し、今の環境も強くなるために重要な要素だという。

稽古を撮影したビデオを見て、改善点のチェックも行う。「小さい体でいかに大きい相手を倒すか」を常に考えながら、自分の相撲に磨きをかけていく。

「インターハイで優勝できるように」

三瀬選手が得意にするのは、前に出て相手に圧力をかける相撲だ。
鎌谷監督は「持ち前の瞬発力からしっかり前に出て相手に圧力をかける相撲が、彼の一番の長所だと思います。非常に器用な選手で身体能力も高いんですけど、細かな技もまずは相手に圧力をかけておいたからこそ決まる技が多いので」と、三瀬選手の戦い方を分析する。

前に出るためには「立ち合い」で優位に立つ必要がある。「動きを見ながら相手よりも速く踏み込む」、立ち合いを制するには迷いは禁物で、高い集中力が求められる。相撲には“前後際断”の精神でぶつかる。

三瀬選手は「過去のことも未来のことも考えずに今に集中する。『この後負けたらどうしよう』とか『今まで勝てなかったから』っていう不安や要らない考えを全部断ち切って、その一番に集中するという思いでやります」と、意気込みを語った。

6月に行われた愛媛県総体で初優勝を飾り、初めてインターハイの切符を手に入れた三瀬選手は、選抜大会の悔しさを夏の大舞台にぶつける。

三瀬選手は、「もっと色んな技を磨いて何をしてくるかわからない、色んな技を仕掛けられる選手になりたい。今年のインターハイで優勝できるように頑張ります。まだ2年生なので来年もインターハイに出て日本一になれるように頑張ります」と語った。

まだまだ伸び盛り、16歳の三瀬選手。「日本一」の称号を目指し、相撲少年の挑戦が続く。

(テレビ愛媛)

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