卑猥DM”局部写真“送る人に聞く心理…人気インフルエンサー・あみち。は被害に怒り「ブロックすると見た証拠に」

直接の面識がない相手とも連絡したり、つながれたりする便利なツール「DM(ダイレクトメッセージ)」。10代、20代女性の3割がDMをきっかけに知らない相手と会い、さらに1割以上が交際や結婚に至ったという調査結果もある。

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一方で、ナンパや投資詐欺、ロマンス詐欺など、望まぬ出会いが突然訪れる可能性も。その極めつけが、男性から局部の画像が送られてくる、いわゆる「チン凸(とつ)」だ。芸能人のみならず、街頭インタビューでも「『俺のを見て』的なDMが来る」との声があがる。

「現代の露出狂」とも言えるチン凸の実情、その問題点について、『ABEMA Prime』で当事者と考えた。

■被害は1日2、3件「ブロックできない」

TikTokerのあみち。さんは、男性からの卑猥なDMに悩まされている。「“チン凸”は1日に2、3件。いきなり送られたり、『今から送るから』と予告されたり、採点を求められたり。『あなたも送って』と求められることもある。ブロックすると『DMを見た』という証拠になってしまう」と語る。

あみち。さんは、有名YouTuberグループからもチン凸被害を受けた(後に和解)ほか、写真以外に文言での卑猥DMも多数届いている。そんな中、YouTubeのコラボ企画で“チン凸者”を呼び出し、一緒に警察へ行ったそうだ。

「高校生ぐらいと大学生、おじさんの3人だったが、みんな普通の人だった。警察に出向いて、実際に送られた画像を刑事に見せたが、『事件化できない。DMでのやりとりは罪に当たらない』と言われた」

■見てくれる人を探す“募集型”を行う人の心理

主流なチン凸には、いきなりDMで画像を送りつける「突撃型」、「見てくれませんか」と確認してから送る「許諾型」、ハッシュタグなどで見てくれる人を探す「募集型」、DMが開いていない相手にインスタでストーリーにタグ付け・メンションして送る「非DM型」の4つがある。

大学生の乙(おと)さんは、希望者に対して自らの性器画像を送る「募集型」のチン凸者。「実生活で友人と話せない内容を、話せる相手が欲しい」と始めた経緯を語る。「多い時はSNS投稿に数百から数千件のいいねや、フォローが来る。その相手にDMで許可を取ってから、写真を送る。基本的には1人ずつの個別送信で、累計で5000〜1万人ぐらいになると思う」。

自身の局部がネットに出回るのは「抵抗感がない。腕や手の写真を送るのと同じ感覚だ」という。また、話し相手を探すためという点について、「あいさつや会話を重ねて仲良くなる行程を省いて、一気に深くまで仲良くなれるのが利点だ。1〜2年連絡を取り続ける人もいれば、一定期間だけの人もいる。反応に喜んでくれる相手や、逆に胸や局部の写真を送り返してくれる人もいる。相手は女性が多いが、逆に凸してくるのは男性が多い」と明かす。

ハヤカワ五味氏は、「卑猥な話をプライベートでできない環境で育つと、そういう話ができる存在を欲しいと思うのではないか。一般的な友人を増やしたいというより、性的な話もできるような相手が欲しいということだ」と推察する。

これに乙さんは「実生活の友人と話せない内容を気兼ねなく話せるのが大きい。恋愛相談や悩み、愚痴などが話しやすくなる。センシティブな話題もそこに含まれると思う」と返した。

■半数近くが“見返り”を期待?

なぜ卑猥なDMを送るのか。米ペンシルバニア州立大が、2019年に約500人の送信経験者に行った調査によると、理由は上位から、見返りを期待(44%)、パートナー探し(33%)、性的または個人的な満足(18%)、権力と支配(9%)、未解決の幼少期の葛藤(6%)、女性蔑視(6%)といった結果が並んだ。

性に関するカウンセリングを行う心理カウンセラーの金子ゆうすけ氏は、上記の結果を引用しつつ「ナルシスト傾向がある人が多い」と説明する。「心理学での『ナルシスト』は、自分のことをかっこいいと思うだけでなく、『自分は特別扱いされるべき人間だ』という部分も含む。なにかうまくいかない時に、『自分を慰めるべき義務がある』と考えがちで、罪悪感を感じず送ってしまうのではないか」。加えて、性癖による衝動も考えられる。「『ウザい』『やめてほしい』でも反応されると、嫌がらせできたとうれしくなってしまう」。

一方で、乙さんのような“募集型”については、「自己開示」という言葉を引き合いに出した。「自分の情報を出すほど、相手は『ここまで心を開いてくれるなら、自分も開こう』と仲良くなる。自己開示は、趣味や価値観など内面の話が中心だが、体を開くことで心も開けるタイプもいるのかもしれない」。

■法的な問題は?

「卑猥DM」に法的な問題点はあるのか。奥村徹弁護士によると、不特定多数に送っている場合は「わいせつ電磁的記録頒布罪」、恋愛感情や好意、またはそれが満たされない怨恨などから、反復・継続的に送付している場合は「ストーカー規制法違反」の可能性があるという。しかし、いずれも立証・処罰が困難で、警察に相談しても警告・停止命令が現実的だとの見方を示す。

ハヤカワ五味氏は、SNS運営側の責任も問う。「全裸の画像投稿はXもInstagramもすぐBANされるのに、なぜDMのチン凸は通るのか。ユーザーによっては通報がなくても、投稿が自動的にNG判定されている。DMの送信時に弾くなどの対策はできるはず」。

また、「DMもメールと変わらない」とし、「“プライベート感”を抱いていても、スタッフが見ているかも知れない。普通にコミュニケーションを取れば仲良くなる可能性もあるだろうが、チン凸から親密な関係につながることは100%ない」と断言した。

乙さんは「SNSの法整備が進んでおらず、DMや投稿は細かく規制されるべき」と考え、「未成年に送っている人も多々いるが、そこは自分は気をつけている。これからどうなるのか注目している」と語る。

あみち。さんは実体験を踏まえて、「注意喚起をすることが、むしろチン凸を増やす要因になることもあり、なんとも戦いづらい状況がある。どうにか法改正されることを願うばかりだ」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)

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