【新連載・家電量販店とまちデータ・1】 「住みたい街ランキング」の上位に入る街（駅）・自治体には、多くの場合、駅前の繁華街や市内のロードサイドなどに小型～大型家電量販店がある。そこでBCNが集計した「BCNランキングデータ取得店舗分布表・2023年12月度」と「2023年10月1日現在の人口推計」（総務省統計局）をもとに、人口10万人に対して家電量販店の多い都道府県を集計してみた。なお、本記事の「家電量販店」とは「BCNランキングデータ提供店」を指しており、全ての主要家電量販店をカバーしているわけではない。
家電量販店は人口10万人あたりおよそ1～2店舗
「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからPC本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース。実売データ提供販売店（23年12月現在）はアマゾン・ジャパン、エクスプライス、エディオン、NTTドコモ（旧NTTレゾナント）、玉光堂、ケーズホールディングス、コジマ、サードウェーブ、サンキュー、上新電機、ストリーム、ソフマップ、ZOA、ナニワ商会、ビックカメラ、ピーシーデポコーポレーション、三星カメラ、ムラウチドットコム、ユニットコム、楽天ブックス、綿半ドットコム（50音順）。
このうち、店頭で製品を販売する実店舗（リアル店舗）は、集計対象の2396店舗から、インターネット通販専業（実店舗なし）の20店舗を引いた2376店舗。
地方を分類する場合、47都道府県を八つに分けた「八地方区分」が一般的だが、「BCNランキングデータ取得店舗分布表」では、店舗所在地によって「北海道・東北」「関東」「信越・北陸・東海」「近畿」「中国・四国」「九州・沖縄」の六つに分けており、エリアごとの店舗数は「信越・北陸・東海」が最も多く（515店舗）、「中国・四国」（488店舗）、「近畿」（469店舗）、「関東」（402店舗）と続く。
データ取得店舗分布表に基づくエリア別店舗数1位の「信越・北陸・東海」の内訳は、新潟、長野、富山、石川、福井、静岡、岐阜、愛知、三重の9県。「関東」は茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨の1都7県で、「近畿」は滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山の2府4県。
都道府県別店舗数は、201店舗の愛知県がトップ。続いて大阪府が188店舗で2位につけ、158店舗で広島県が3位に入った。愛知県と広島県はエディオン（旧エイデン・旧デオデオ含む）が多く、大阪府はエディオンと上新電機がほぼ同数の店舗を出店しているため、4位以下を大きく引き離している。
23年10月1日現在の日本人人口を店舗数で割った、人口（日本人）10万人当たりの店舗数は1.89。人口10万人程度の自治体には1～2店舗がある計算だ。都道府県別では、島根県が6.41でトップ。2位は広島県（5.89）、3位は佐賀県（5.47）、4位は山口県（5.39）だった。ワースト1は神奈川県（0.55）で、東京都（0.68）、山梨県（0.77）、埼玉県（0.83）と続く。
ここで家電量販店の業界勢力図に詳しい人は、あれ？ と違和感を覚えただろう。関東地方にも家電量販店は多数あり、いくら母数となる人口が多いとはいえ、ここまで低いわけがないと。前述の通り、本記事における家電量販店とは「BCNランキングデータ提供店」を指しており、店舗規模に関係なく1店舗としてカウントするため、地域密着型の小規模店舗が多数出店している地域のほうが有利となる。よって意外な結果となった。
参考までに、ヤマダデンキ直営店（972店舗）、ヨドバシカメラ（24店舗）、ノジマ（221店舗）、でんきち（20店舗）を加えて集計すると、全国の人口10万人当たりの店舗数は2.91に跳ね上がる。東京都や神奈川県は、商業施設へのテナント出店も多いノジマとヤマダデンキが店舗網を広げているといえそうだ。
本連載「家電量販店とまちデータ」では、次回以降、家電量販店を中心に、移住・転居といった住まい選びの参考になり得るデータを紹介していく。（BCN・嵯峨野 芙美）
※「BCNランキングデータ取得店舗分布表・2023年12月度」は、23年12月時点の集計値となり、以降の店舗の統廃合（閉店）・新規出店は反映しておりません。また、ヤマダデンキ（直営店）、ヨドバシカメラ、ノジマ、でんきちの店舗数は執筆時点でIR資料またはウェブサイトに記載の内容をもとにした店舗数であり、最新とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
＊「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからPC本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割（PCの場合）をカバーしています。
