物語の軸になる主人公のつくり方!魅力的な展開をつくる目的や演出とは?【テクニックでセンスを超える!プロが教えるマンガネーム】

物語の顔、 主人公のつくり方

主人公は行動の目的が明確で、しかも複数ではなくひとりに絞ったほうが、 魅力的に見せやすくなります。

主人公の目的がストーリーの軸に

主人公を主人公たらしめる2つの要因はストーリーの中心人物であること。そして、主人公が何を目指しているのか、作中で目的・目標が明確になっていることです。

主人公の目的・目標達成までに何をするのか、何があったのか。これがストーリーの軸となります

ストーリーの最初のページで必ずしも主人公の目的を発表する必要はありませんが、遅くても「起承転結」の展開の、「承」の中頃までにはその目的を読者にわかるように提示しましょう。

このとき、漠然とした目的には主人公を向かわせないようにします。たとえば「お金持ちになりたい」という目標の主人公であれば、「投資で1千万円の利益を得る」という具体的な数字込みのゴールを作中で提示することが大切です。最終的な目標に対し、主人公が達成できたのか、できなかったのかを、描き切るのもポイントです。

また、同時に目的を明確にしたあとも、演出次第では、読者に興味を持たせるキャラクター自身の「謎」は残しておいてもいいでしょう。

主人公の目的を中心にストーリーを展開することで、ブレにくい軸が生まれる。そこに友情や敵との戦いなどの要素が徐々に増えて、内容が重厚になっていく。主人公にフォーカスしない話ばかりを描いてしまうと、主人公らしさを失うばかりか、軸もなくなってしまう。

複数の主人公は難しい

ちなみに、ひとつの物語に複数の主人公を立てることは可能ですが、非常に難しい構成になります

作品のスタート時点では複数の主人公がいたという作品もありますが、最後にはそのうちのひとりだけにスポットが当たり、そのキャラクターだけの話になって、ほかのキャラクターの顛末についてはうやむやで終わってしまうパターンも少なくありません。

しっかりとした主人公たちのドラマを、ストーリーに平均に織り込み、さまざまな性格の人物を描き分けられるようにならなければ、複数の主人公を扱う作品には手を出すべきではありません。

はじめは出番が平等
最初のうちは要素も少なく、複数の主人公にもスポットが当てやすい。

↓しかし……

ストーリーの中心軸は彼ひとりに
話が進むにつれて、出番に差が生まれてくる。最終的にそのうちのひとりにのみスポットが当たり、ほかのキャラクターの顛末はうやむやで終わる。

【出典】『テクニックでセンスを超える! プロが教えるマンガネーム』著:佐藤ヒロシ

【書籍情報】
『テクニックでセンスを超える!プロが教えるマンガネーム』
著:佐藤ヒロシ

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