【ラジオNIKKEI賞】本命セットアップはGⅠ級の能力アリ シリウスコルト、アレグロブリランテも押さえたい

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開幕週らしく前と内が有利

福島競馬場の芝はエクイターフが使用されており、良馬場の開幕週でも「超」が付くほどの高速馬場にはなりにくい。その上、このレースが行われる福島芝1800mは前半が上り坂で、福島芝2000mよりも前半3Fが遅くなることが多い。

ただし、過去10年のラジオNIKKEI賞を振り返ると、極端なスローペースになったことはない。開幕週らしく内が圧倒的に有利で逃げ馬が1勝、2着2回、3着3回と活躍している。

一方、追込馬は過去10年で0勝。2013年にケイアイチョウサンが追い込んで勝利したことがあったが、3~4角でぽっかりと開いた内を突いていた。大抵は外を回ることになるため追込馬は苦戦する傾向にあり、前に行ける馬、内を立ち回れる馬が優勢だ。

能力値1~5位の紹介

【能力値1位 セットアップ】
超高速馬場で行われた新馬戦はスローペースで逃げてレガレイラの2着、デビュー2戦目の未勝利戦では逃げて3着以下に9馬身以上の差をつける完勝。ひとクラス上の指数で勝利した。

続くタフな馬場の札幌2歳Sでは4番枠から好スタートを決めると、楽々とハナを主張。主導権を握ると2角でペースを落とし、2馬身半差のリードで3角へ。4角では2番手と4馬身半差を付け、直線でもしぶとい粘りを見せた。ラスト1Fでパワーホールにやや差を詰められたが、余裕を持って4馬身差で完勝した。ここで記録した指数は、今年の皐月賞なら3着相当という優秀なものだった。

朝日杯FSは6番枠から好スタートを決めてハナを主張したが、外から絡まれてペースを落とすことができなかった。しかも、外から折り合いを欠いたシュトラウスにも絡まれて2番手へ。レースはそれでもオーバーペースとなり、セットアップ自身は7着に敗れた。前走のサウジダービーは世界を相手に初ダート。11着大敗も仕方ない。

新馬戦と札幌2歳Sの内容から時計の掛かる馬場がベストだが、福島の開幕週なら「超」が付くほどの高速馬場ではないので問題ないだろう。内枠を引いたのも好ましく、ここで復活を期待する。本命候補だ。

【能力値2位 ショーマンフリート】
中山芝1600mの新馬戦ではやや出遅れ、末脚を生かす競馬で勝利した。2番人気に支持された次走のシンザン記念では、タフな馬場のハイペースを中団外々から道中で好位まで上がっていく競馬で5着に敗れたが、その後は中距離路線で上昇。前々走の山藤賞では何とか2番手で我慢させ、2着と善戦した。

前走は9番枠からまずまずのスタートを決めるとコントロールしながら進め、前2頭が離していく展開の3番手を追走。道中も折り合いを意識して我慢させ、3~4角では最短距離を通って4角出口で外目に誘導した。

直線序盤で追われると反応は甘かったが、ラスト2Fで徐々に伸び始め、先頭と3馬身はあった差を1馬身半まで詰めた。ラスト1Fで抜け出したところを外からラスカンブレスに強襲されたが、半馬身差で振り切った。

前走の直線での反応を見ても、エンジンの掛かりが遅い面がある。騎手心理としてこういう馬では早めに仕掛けていこうとするものだが、新馬戦でラスト1Fで加速したことや、前走時に仕掛けをワンテンポ遅らせて結果を出したことから、末脚を生かす競馬がベストのように感じる。

今回は開幕週で内有利馬場。それでいて大外12番枠だが、前がペースを引き上げる展開で差す競馬ならチャンスがありそうだ。

【能力値3位 ウインマクシマム】
デビュー3戦目の未勝利戦を逃げ切り、ホープフルSを挟んで2400mのゆりかもめ賞に出走。序盤でやや掛かって1~2角で外に膨れ気味だったが、その後は折り合いがついて逃げる形になった。他馬にも競られなかったため、前後半5F62秒4-58秒7の超スローペースで逃げ切ることができた。

休養明けの前走青葉賞では、10番枠からまずまずのスタートを切り、内のパワーホールを行かせて2番手で流れに乗った。向正面に入ってペースダウンして、前のパワーホールと3馬身程度だった差がどんどん広がる。3角手前で3番手以下にも取り付かれてしまったが、3~4角で最短距離を通って直線序盤で伸び始めた。

だんだんとパワーホールとの差を縮め、ラスト2Fでは堂々と先頭に立ったが、外から差されて3着争いからクビ+アタマ差の5着となった。前後半5F59秒5-60秒7とそれなりに流れたこともあって、ラスト1Fはやや甘くなってしまったが、距離が長かったのもあるだろう。 2400mよりも1800mのほうが良さそうだが、今回は1~3番枠にテンが速い馬が入った中での6番枠。芝2400m戦を使った後の一戦でこの枠だと、外から前に絡んでいきながらも前に行き切れないリスクが生じる。

【能力値4位タイ シリウスコルト】
福島芝1200mの新馬戦を勝利。当時の内容は可もなく不可もないといったものだったが、距離が延びて上昇。時計が掛かる馬場で行われた中山芝2000mの芙蓉Sでは、コントロールしながら好位の中目を追走し、4角の外々から積極的に動いて勝利した。

前々走の弥生賞は8番枠から好スタートを決め、内に切り込みながらハナを主張して単騎気味のややスローペースの逃げ。3角で外からコスモキュランダに押し上げられ、ここで抵抗してペースを引き上げた。

4角ではコスモキュランダにクビ差だったが、直線序盤で同馬にかわされた。ラスト1Fで甘くなり、シンエンペラーにも差され、1馬身1/4差+1馬身1/4差の3着に敗れた。

しかし、勝ったコスモキュランダは皐月賞で2着、2着シンエンペラーは日本ダービーで3着していることを考えると、シリウスコルトも上々の内容だったと言える。

弥生賞の時のようにスタミナを生かす競馬をすると強い。前走の皐月賞はメイショウタバルのオーバーペースに巻き込まれて14着と大敗したが、自分の持ち味を生かす競馬ができれば巻き返し可能だ。

【能力値4位タイ ミナデオロ】
前々走の未勝利戦は速い流れを先行策から抜け出し、2着馬に1馬身半差をつけて快勝。キレはそこまでなくともスタミナはかなりあると感じさせる勝利だった。

前走は白百合Sに格上挑戦。8番枠から五分のスタートを切り、軽く促してしばらく内の馬の出方を窺っていたが、最終的にハナを切った。道中ではペースを落として3角へ。3~4角で徐々にペースを引き上げて1馬身半差のリードで直線に向き、序盤で追われるとしぶとく伸びてリードを維持した。

ラスト1Fでは外から伸びるオフトレイルをほとんど寄せ付けず、1馬身1/4差を付けてゴール板を駆け抜けた。スタミナを生かし切る形で見事な勝利だった。

ここにきて力をつけているし、スタミナはかなりあると再認識させられた。ただ今回は前走で能力をある程度出し切った後の一戦。ここに来て力をつけているので警戒は必要だが、過信もできないと見る。

【能力値4位タイ オフトレイル】
前走は白百合S2着。2番枠からまずまずのスタートを切り、序盤からかなり掛かった。前後半4F48秒5-45秒6の超スローペースになったことも要因の一つだろう。折り合いに苦労しながら好位馬群の中目を追走し、向正面半ばで手綱を引いて位置を下げ、3角手前で外に誘導した。

3~4角では3番手で我慢させ、直線でさらに外に誘導して追われると、楽な手応えで2番手に上がる。先頭のミナデオロとは1馬身半ほどの差。しかし、そこから差が縮まらず、1馬身1/4歳の2着となった。

かかる面は気になるが、前走はそれでも最後までしぶとく粘っていた。逃げ先行馬が揃った今回はさすがに前走よりはペースが上がるはず。前走よりも走りやすいと見るが、気性面から距離がもつかどうかは微妙なところである。

【能力値4位タイ サトノシュトラーセ】
前走は青葉賞4着。1番枠から好スタートを決めて、そこから押していったが進んで行かず、いつものように後方に下がってしまった。そこから外に誘導し、向正面で積極的に動いて中団の外まで上がり3角に入った。

3~4角でペースが上がり、外々を回されるロスを受けながら直線へ。直線序盤で追われたが、反応が甘くてなかなか伸びなかった。ラスト2Fで内の馬の動きで外にフラれ、進路が狭くなる不利はあったが、ラスト1Fで前が甘くなったところで差を詰めるも4着だった。

前走に関しては3~4角、ラスト2Fでの不利が敗因として大きい。しかし、1番枠からスタートしつつ前に行けずに外枠とほぼ同じ競馬をしてしまったのが敗因。今回もそうなる可能性がある。

また距離を延ばして指数を上昇させた馬で、本質的に1800mは忙しい。向正面でペースが緩み、捲る展開になればチャンスがあるが、開幕週のこの舞台ではそうなる見込みは薄い。大勢が決したところで3着くらいに突っ込んで来るか否か、という戦いになりそうだ。

シリウスコルトと似た臨戦過程で持久力型のアレグロブリランテ

デビュー3戦目の若竹賞は、先行馬に厳しい流れを2番手で進めて2着と強い内容。次走のスプリングSは7番枠からまずまずのスタートだったが、かなり押してハナを主張した。

主導権を握るとかなりペースを落としたが、それでも3角では1馬身ほどのリードがあった。4角で外からシックスペンスが上がってくると、ここで仕掛けて抵抗。直線序盤ではしぶとく抵抗していたが、ラスト1F手前で捉えられてしまった。しかし、そこからもしぶとく踏ん張って後続を寄せ付けず、2着を死守した。

前走の皐月賞は3番手を追走。メイショウタバルのオーバーペースに巻き込まれてシリウスコルト同様に崩れてしまったが(シリウスコルト14着、アレグロブリランテ15着)、アレグロブリランテもスタミナを生かす競馬をすると強い。

シリウスコルトと比べてもそこまで大きな力差はないが、人気の面で大きな差がある。確かにシリウスコルトと同じハンデ56kgで外目の枠というのは好ましくないが、休養中の成長力、乗り方ひとつで逆転も可能なレベル。ここは一発を警戒したい。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)セットアップの前々走指数「-11」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.1秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。



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