家から一匹もいなくなりました…家族が誇りに感じた猫さまの驚きの特技とは

黒いおばあさん猫さまと仲良しの白猫さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.246
猫さまの話をもっと聞かせて!
ベラさまは2歳の女性猫さま。




<ベラさまが語ります>
私はパリ郊外で庭のある一軒家に住んでいます。いつもは自宅併設のアトリエで寝ていて、起床後、まずは全身ブラッシングをしてもらいます。ごろごろと右や左にひっくり返りながら、頭からお腹や背中を通って、しっぽの先まできれいにきれいにブラッシングしてもらいます。その後は、敷地内に寝泊まりしている、黒い野良猫と一緒に外で一日中遊んでいます。



夜になったら外から帰ってきます。時々朝帰りもします。冬場は外に行かずに家のソファで一日寝ています。時々、いすの下に隠れて、横を通る家人の足元に急に躍り出て、驚かせます(ネズミ捕りの訓練)。あとは階段の下の、人間にはアクセス不能なところに行って一日中ゴソゴソしています。



食事は穀物フリーのドライキャットフード。たまに魚を焼く匂いにつられて、焼き魚を要求するとおこぼれがもらえます。
好きな居場所は仕事場のプリンターの上、昼寝するソファ、台所のシンクと気分に合わせて行動します。
おもちゃはボールと、獲ったねずみ! 人の靴下も遊びには適していますね。


<飼い主から見たベラさまとは>
ベラという名前は夫がアメリカ時代、ずっと昔に飼っていた猫の名前にちなんでいます。彼は黒い猫を飼いたくて、獣医の友人に黒猫が来たら連絡くださいとお願いをしていました。ある日、この獣医さんから「あなたにちょうどいい猫がきたよ」と連絡があって、見に行ったらなんと黒ではなく、真っ白な猫だったそうです。自分が思い描いていることと違う現実が来ても受け入れたほうがいいんだろうなあと、この猫を飼うことにして、ベラと名付けました。あちこち一緒に旅行したりして、とても素敵な猫だったそうで、もしまた飼うなら、白い猫がいいなあと思っていたそうです。これが初代ベラ。



2年前にルマンの友人から子猫が生まれたよと連絡があり、送ってもらった写真を見るとトラ猫のお母さんの横には真っ白な子が5匹とトラ猫2匹! ルマンの友人宅に行ったら、ほとんどが里子にだされていて、残りは白の2匹になっていたのですが、やんちゃなおねえちゃん小猫にやられっぱなしの、妹をもらってきました。そして、もちろん名前はベラと命名しました。



ベラの性格は犬のようです。あるいは自分を猫とは思っていないようです。名前を呼んだら、どんなに遠くにいても聞きつけてすっ飛んできます。何語で話しても、「にゃー」と返事してくれます。すでに家族の一員で、「ご飯ですよ」と呼ぶ時には夫と子どもとベラの名前はほぼごっちゃになります。特技は人を驚かせることと、ねずみ捕り! これは数えきれないです。ベラがドタバタとすごい勢いで家の中を走ったと思ったら、ネズミを捕まえ、我が家にネズミ一家が引っ越してきたときは片っ端から退治してくれました(笑)。



かわいい仕草は蛇口から出る水道の水を必死で手で掴もうとしているところです。寝ているときに布団からはみ出た私の足の指を、こっそり部屋に入ってきていたベラに舐められて、びっくりして飛び上がってしまったこともありました。



15年前から敷地に居候している黒の野良猫は、人間の歳でいうと70か80歳くらいのおばあさん猫です。いわば、まだ小学生くらいの白猫のベラと2匹でじゃれて一緒に遊んでいるのを見ると、人間界の人種差別とか、肌の色がどうだとか、歳の差とかの問題がアホらしくなりますね。


ーー真っ白なベラさまと仲良し黒猫ばあさまは一体どんな会話をしているのでしょうか? 白黒はっきりさせるという関係ではないでしょうが、ベラさまの飼い主はその光景を見るのが楽しいようです。今度何匹ネズミを捕らえたのか聞いてみます。もしかして黒猫ばあさまは半端でない数だったりして(笑)。


著者情報
松永学
猫さま好きフォトグラファー。雑誌、webなど多くの媒体で活躍。猫歴、実家に通っていた野良を含めると10匹以上、パリには2匹の猫さまを連れて移住、現在は保護猫3匹と暮らす。どこへ行っても通りで見かけた猫さまに挨拶は忘れません!

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