<レスリング>【2024年東日本学生リーグ戦・特集】決勝グループ3戦全勝も無念の二部降格…再起を目指す法大

2024年東日本学生リーグ戦の一部リーグ13~16位グループを3戦3勝と勝ち抜いた法大。だが、一・二部の再編成によって、来年は二部リーグでの闘いとなる。

阿佐雄二監督は「(12位以内に入って)残れるかな、という気持ちはありましたが、やはり勝負の世界は厳しいですね」と第一声。予選グループの1回戦で拓大と3-4の試合を展開し、その気持ちが強くなったそうだが、日大と東洋大に連敗して二部降格が決まった。「来年は二部で優勝し、入れ替え戦に出られるように頑張ります」と気を取り直した。

▲今年は無念の結果となったが、来年へかける請川胡大良主将(3年)

少子化ほかの理由で高校の選手数が減っている。トップチームに比べると、選手の獲得は大変で、選手数の少ない重量級は各大学で取り合いとなり、中堅大学にとっては本当に厳しい状況。リーグ戦では下の階級の選手を86kg級や125kg級で起用することを余儀なくされることが続いている状況だ。

スカウト時に「特待生」を確約できない推薦制度で、全国でベスト4以上の選手は特待生など優遇のある大学に流れてしまい、声をかけても気持ちが向いてくれないのが現実。飯田橋という都心の中心部に道場がある恵まれた環境を、スカウトに結びつけられないもどかしさがある。

▲チームを指揮する阿佐雄二監督。来年の一部昇格を目指す

国際舞台へ進む選手も生まれ、再浮上の兆しは十分

しかし、東日本学生選手権で優勝した山﨑幹太郎(2019年3月卒=長野・小諸高出身)が日体大大学院へ進んで同チームで練習を積み、この秋、海外青年協力隊の事業でエクアドルへ向かう予定(関連記事)。現在4年生の品田陽平(東京・日本工大駒場高卒)が2022年にU20アジア選手権とワールドカップの代表に選ばれるなど、国際舞台へ挑む選手もいる。

また、昨年の東日本学生秋季選手権・男子グレコローマン67kg級で2位になった穴田禅侍(当時4年=千葉・四街道高卒)は、「もっとレスリングをやりたい。突き詰めたい」として、卒業を先延ばし。アルバイトでためた資金をもとに、「インスタで連絡して希望したら対応してくれた」というハンガリーへ向かい、同国ナショナルチームで練習。ハンガリーの国内大会で2位に入るなどの実力をつけている。

▲6月中旬のハンガリー合宿で日下尚(三恵海運=左端)、曽我部京太郎(ALSOK=右から2人目)と再会。曽我部とは同階級の穴田禅侍。ロサンゼルスへ向けて死闘を展開するか=本人提供

阿佐監督のともには「ハンガリーの監督から『次のオリンピックを狙える』と言われたとのこと。(予定の)1年ではなく、3年くらい頑張ってみたい」という連絡が来て、ゴーサインを出した。いずれ、貴重なOBとしてチームに還元してくれるだろう。同監督は「こういう選手が増えてほしいですね」と話し、高校時代は無名の存在であっても、世界に目を向けてレスリングに取り組む選手の育成に力を注ぐ腹積もりだ。

まずは、来年の一部復帰へ向けて全力投球。夏は自衛隊体育学校で合宿させてもらい、そのあとは東洋大への通い練習で鍛え、8月下旬の全日本学生選手権での好成績を目指す。

かつて、世界チャンピオン(田中忠道=1969年)やオリンピック3度連続出場選手(川野俊一=1960・64・68年)を輩出した強豪大学。一部復帰、さらにはトップレベルへの躍進が望まれる。

▲再出発へ向けてのミーティング

▲リーグ改編で二部降格が決まっても、応援席からは熱い応援が最後まで送られた

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