【F1第11戦予選の要点】フェルスタッペンから0.888秒差。復調の兆しが見えないペレスの過酷な役割

 6月29日に2024年F1第11戦オーストリアGPの予選が行われ、セルジオ・ペレス(レッドブル)は8番手に終わった。マクラーレン、フェラーリ、メルセデスの6台の後塵を拝し、ポールポジションを獲得したチームメイトのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)には0.888秒もの大差をつけられたかたちだ。

 ここ数戦のペレスは、一体どうしてしまったのだろうか。第6戦マイアミGPまでは、優勝こそなかったもののコンスタントに表彰台に上がり、ドライバーズ選手権で2位につけていた。フェルスタッペンのチームメイトという役割を、曲がりなりにも果たしていたと言える。

 ところが第7戦エミリア・ロマーニャGPで予選Q2落ちを喫し、レースでも8位に終わった辺りから、彼本来の走りがすっかり影を潜めてしまった。そして第8戦モナコGP、第9戦カナダGPと2戦連続で予選Q1落ちを喫し、前戦のスペインGPは今回同様8番手。決勝レースでも直近4戦で入賞は2回の8位入賞のみに留まり、選手権は5位まで後退した。

 このままいけば、18ポイント差のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、26ポイント差のジョージ・ラッセル(メルセデス)に抜かれてランキング7位に落ちるのも時間の問題だろう。今や予選でもレースでも、上位争いでペレスの名前が言及されることはほとんどない。存在感がどんどん希薄になっている。

 今のペレスの低迷は純粋なドライビング云々というより、メンタル的なものに起因すると思われる。レッドブルに去年までのような圧倒的な優位はなく、マクラーレンやフェラーリが時に互角以上の速さを見せる。それでもフェルスタッペンは超人的とも言える走りで、劣勢を跳ね返す。

 同じクルマに乗る自分が、何故あのタイムを出せないのか。先日の2年間の契約延長発表も、「なぜ不調のペレスを使い続けるのか」というメディアの格好の攻撃目標となり、今のペレスにはさらなるプレッシャーの要因となっているように見える。

 その意味では、むしろペレスはここまでよくやって来たというべきかもしれない。ダニエル・リカルド、ピエール・ガスリー、アレクサンダー・アルボンら歴代のチームメイトは、ことごとくフェルスタッペンにかなわず、失意のうちにチームを去っている。

 それに対し2022年以降のペレスは、少なくともシーズン序盤は結果を出してきた。そして2021年以来、最も長くフェルスタッペンのチームメイトを務めたドライバーであり、その記録を今も更新し続けている。

 しかし、もし今の不調がメンタル由来だとしたら、復調を望むのは厳しいかもしれない。フェルスタッペンのチームメイトは、それほど過酷な役割ということなのだろう。

2024年F1第11戦オーストリアGP セルジオ・ペレス(レッドブル)
2024年F1第11戦オーストリアGP セルジオ・ペレス(レッドブル)
2024年F1第11戦オーストリアGP セルジオ・ペレス(レッドブル)

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