幼なじみ3人が消防団員に 川北の20代「ふるさとの力に」 県内唯一、定員充足100%

西田団長(左)の指導を受け、放水の手順を確認する(右から)小島さん、山先さん、新田さん=川北町川北中

 川北町消防団に、山先(やまざき)勇也さん(25)=中島=、新田悠人(ゆうと)さん(24)=同=、小島功裕(こうすけ)さん(24)=三反田=の3人が加入した。3人の入団により、同消防団の定員(32人)に対する充足率は県内唯一の100%を達成。地震や大雨などの自然災害が相次ぐ中、町民の安全安心の確保に貢献したいと入団を決意した幼なじみの最年少トリオは「ふるさとのために力になりたい」と意気込んだ。

 各地で団員のなり手不足が続く中、川北町消防団が充足率100%を達成するのは約50年ぶり。2023年度の県内の全22消防団の充足率は86.7%(5128人)となっている。

  ●大雨、地震を経て

 3人は自宅が近く、幼少期からの遊び仲間。一昨年8月に町内を襲った記録的大雨では、町内をポンプ車で巡回して避難の呼び掛けに奮闘する団員の姿に「憧れを抱いた」という。元日の能登半島地震をきっかけに地域防災の力になりたいとの思いを強くし、4月に誘い合わせて入団した。

 3人は現在、巡回などの消防団活動に従事しながら、先輩団員からホースの持ち方や消防資機材の取り扱い方を教わり、スキルアップに励んでいる。「年代の違う団員と交流を深められることはプラス。消防団のやりがいを伝えていきたい」と力を込めた。

 川北町消防団では近年、団塊世代やベテランの退団が続き、団員数は定数を下回る24、25人で推移する状況が続いていた。西田時雄団長(71)らが各区長の協力を得て勧誘活動を強化し、2019年以降は着実に団員を増やしてきた。

 毎年6月下旬に開催される白山野々市川北消防訓練大会に向け、団員は5月初旬からはほぼ毎日練習に臨む。ただ、日中に仕事を抱えた団員が多いことから、練習の負担感にも配慮し、今年からは練習日を週4日に変更。団によると、練習のやり方を柔軟に見直したことが活動意欲の高まりにもつながっているという。

 西田団長は「地域防災力の強化には若手の育成が大切。平素から訓練を重ねることはもちろんだが、若手が入団しやすい環境づくりにも努めたい」と話した。

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