【陸上】久保凛が抱く〝感謝の思い〟 憧れの存在・田中希実から学んだ競技内外の姿勢

800メートル予選1位の久保凛

陸上女子800メートルで昨夏の全国高校総体(インターハイ)覇者の久保凛(東大阪大敬愛高2年)は〝感謝〟を胸に、スタートラインへ立っている。

サッカー日本代表MF久保建英(レアル・ソシエダード)をいとこに持つ凛は、小学校時代はサッカー少女だったものの、地元の駅伝大会で区間新記録をマークしたことがきっかけで陸上の世界に飛び込んだ。中学時代から全国の舞台で活躍し、今年は初めて日本選手権(新潟・デンカビッグスワンスタジアム)に参戦した。29日の800メートル予選は3組に登場すると、序盤から果敢な走りを見せ、1500&5000メートルでパリ五輪代表の田中希実(ニューバランス)に先着。2分3秒60の全体1位で30日の決勝にコマを進めた。

建英に負けじと世界への階段を順調に駆け上がる凛だが「感謝の気持ちを持って走ることを心掛けている」と慢心は一切ない。「憧れの人」と口にする田中は、積極的に陸上の普及活動を行うなど、多方面で大活躍。そんな姿を見てきたからこそ、かつてインタビューでは「人としても魅力的というか、礼儀の面などにも憧れているので、走りの面だけじゃなくて、人としても憧れている」。競技内外で刺激を受けているという。

この日も凛はレース前のアップを終えると、サブトラックに向かって深々と一礼。どんな時も周りの人たちへの気配りを忘れない姿勢が垣間見えた。

決勝では再び田中との直接対決が実現する。凛は「高校記録のタイムだったり、パリ五輪の参加標準を突破できるように全力で頑張りたい。自分の憧れの選手と走る機会があるのは本当に自分にとってうれしいこと。こういう試合を大切にしていきたい」。悲願の初優勝へ、頂上決戦で全身全霊を注ぐ覚悟だ。

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