「山宣」知ってますか 治安維持法に反対、多面的な人物像に迫る 顕彰団体がブックレット作成

新しいブックレット「反戦平和を貫いた 山本宣治」を手にする宇治山宣会のメンバー(宇治市役所)

 「山宣」の愛称で知られる京都府の宇治出身の政治家、山本宣治(1889~1929年)を顕彰する市民グループ「宇治山宣会」が、山宣の生涯や思想を紹介するブックレットを作った。39年の短い人生ながら、政治家や科学者など多面的な顔を持つ人物像に迫っている。

 ブックレットは「反戦平和を貫いた 山本宣治」。山宣の生誕135年と没後95年を記念した事業の一環で、15年前に作成したブックレットの内容を大幅に膨らませた。

 宇治で育ち、カナダへの留学で民主主義に触れたり、生物学者を目指して大学で学んだりしたことが写真付きで紹介されている。国会議員となって治安維持法に反対した経緯や、産児制限運動に身を投じたことなども詳しくつづられている。

 5人の子どもの目に映った山宣の姿や、京都にいた朝鮮人留学生との関わりなどの内容を新たに加えた。表紙には、1928年の第1回普通選挙で立候補した際の選挙ポスターと、亡くなる1週間前に決意を記した「唯生唯戦(ゆいしょうゆいせん)」の文字をあしらっている。

 同会は「自由と個人の尊厳を大事にした山宣の生涯を見つめ直してほしい」としている。A5判。88ページ。2500部発行。500円(税込み)。問い合わせは同会0774(48)2472。

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