【ソフトバンク】近藤健介 パ単独トップの13号も〝本音〟「山川さんが本調子になったら…」

早くも今季13号を放ったソフトバンク・近藤健介

パ・リーグ首位を快走するソフトバンクは29日の日本ハム戦(エスコン)に7―1の快勝を収め、貯金を今季最多の27とした。これで8カード連続の勝ち越し。今季70試合目で再び勝率7割を超えた。

6月絶好調の近藤健介外野手(30)が、連日のヒーローとなった。4点リードで迎えた5回。二死一、二塁から中押しの13号3ランを放った。今季すでに6勝を挙げている好投手・伊藤の3球目、内角に食い込むスライダーにうまく反応。「二度とできないようなうまいバッティングができたんで、本当にどうやって打ったか覚えていない」。技術屋・近藤が思わず自画自賛するほどの一発。ファウルゾーンへ切れることなく右翼フェンスを越える打球を見届ける表情が、納得の一打を物語っていた。

この日3安打をマークし、打率は再び3割5分の大台を超えた。6月は全22試合で「出塁」をマーク。月間成績は打率4割8厘、7本塁打、22打点の大暴れで、今月16勝5敗1分けと白星を量産するチームの原動力となった。

この日放った13号で、本塁打もリーグ単独トップ。開幕からキング独走だった山川が29試合不発と当たりが止まる間に一気に追い越した。46打点もトップ・山川と3差に接近。昨季に続き、3冠王への夢が膨らむシーズンだが、近藤は「数字がついてくれば一番いいけど、そこはまだまだ意識するところではない」と至って冷静。

その上で「山川さんが本調子になったら、あっという間にたぶん突き離されると思う。それまでにしっかり打っておきたいな思います」と冗舌だった。不振に苦しむ4番・山川の復調は、V奪回に不可欠。実力を認める大砲へ、ユーモアある〝宣戦布告〟で同僚思いの一面をのぞかせた。

交流戦中に右手指を捻挫。以降12試合連続でDHでの出場が続くが、守備復帰も近づいている。「そろそろ就きたい」(近藤)。定位置の「5番・左翼」復帰は、長期遠征を終えて福岡に帰還する来月4日からの西武戦(みずほペイペイ)が一つのメドになりそうだ。選手個々の蓄積疲労が酷なる夏本番に向けて、DHの運用はカギとなる。ここまで全試合出場の近藤は守備での献身性も光る。なにより運用面で早期の守備復帰がチームにもたらす恩恵を理解しているはずだ。

破竹の勢いで首位を独走しているが、近藤は「このまま良い状態でいくとも思わない」と断言。「一戦一戦、必死に戦っていくだけ」と気を引き締めた。有無を言わさぬ結果、風格、使命感――。頼もしさが増している。

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