真備豪雨訴訟 県、市への訴え撤回 原告団、国のみ相手に継続

西日本豪雨の損害賠償を巡り岡山県と倉敷市に対する訴えの取り下げを決めた「り災者の会」原告集会=倉敷市真備町川辺

 2018年7月の西日本豪雨で小田川と支流が決壊し、甚大な浸水被害を受けたのは河川の管理不足などが原因として、倉敷市真備町地区の住民らでつくる「り災者の会」の227人と1企業が国と岡山県、倉敷市に対して約6億3千万円の損害賠償を求めている訴訟で、原告団は29日、県と市に対する訴えの取り下げを決めた。争点を小田川の治水対策に絞り、管理者の国のみを相手取って訴訟を継続する。

 同日、地区内で開いた原告集会で協議した。賠償請求額に変更はない。原告団によると、支流の決壊などは国による小田川の管理不足が原因で引き起こされており、県と市も被害者の側面があるとした。争点を整理することで訴訟の早期解決も見込めるという。

 訴状では、国に対して小田川の治水工事を先延ばしにした不作為の責任がある上、河川内の樹木伐採を怠って流下能力の低下を招いたなどと主張。県や市に対しては、堤防の切れ目を板でふさいで流水を防ぐ「陸閘(りっこう)」を封鎖しなかった▽避難情報を適切に発令しなかった―などと指摘していた。

 原告代表の吉田勤さん(78)は「市には陸閘の管理と避難情報の発令について訴訟外で再発防止を要望する」とした上で「国が適正に小田川を管理していればあれほどの被害はなかった。補償を得られるよう一対一で話し合っていきたい」と話した。

 西日本豪雨を巡っては国と県、市、中国電力に対して提訴した被災者49人のグループ「真備水害訴訟原告団」の訴訟も岡山地裁で係争中。

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