【感染症ニュース】新型コロナ全国定点4.61(6/17-23)増加  医師「全国的に増えている」 沖縄県25.68と再増加

流行地域は注意

厚生労働省が2024年6月28日に発表した2024年第25週(6/17-23)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は4.61。前週(6/10-16)の4.16と比べ、微増となりました。しかし、2024年5月から、患者報告数は、着実に増加傾向にあります。都道府県別にみると、沖縄県(25.68)・鹿児島県(10.51)・佐賀県(8.46)・宮崎県(7.40)・熊本県(7.36)千葉県(7.25)の順に高くなっています。現状について、感染症に詳しい医師に聞きました。
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感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「新型コロナウイルス感染症の患者報告数は、全国的に増加しています。沖縄県は、ピークアウトしたかと思いましたが、25.68と再び増加に転じています。また、九州地方も、ジワジワと高い水準になっており、流行地域では、注意が必要です。私の勤務先のある大阪府は、全国的には、3.29と低い水準ですが、それでも、前週比で6%増加しています。例年、梅雨明け時期に夏季の流行が始まりますが、梅雨明けまでもジワジワと増加しそうです。注意が必要でしょう。現在、KP.3と呼ばれる新たな株が流行をみせていますが、KP.3はオミクロン株の一種で、以前に流行したBA2.86から派生した株です。ワクチンや感染による中和抗体による免疫からの逃避の可能性が高く、感染しやすいというBA2.86の特徴はそのまま引き継いでいるものと思われます。また、発症しても症状には大きな違いはないと思います。とはいえ、新型コロナウイルス感染症による入院患者は高齢者が多く、特に感染した場合のリスクが高い方やその周りの方たちは、感染を広げないよう十分、注意していただければと思います」としています。

新型コロナウイルス感染症とは?

新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。

入院患者のおよそ半数が80歳以上の高齢者

厚生労働省のデータによると、今年の新型コロナウイルス感染症による入院患者の届け出数は49,623人。そのうちおよそ半数の24,282人が80歳以上の高齢者、70代の方は11,921人となっています。「3密」の回避、石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒、部屋の換気など、予防対策を引き続き行ってください。 引用 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第25週、新型コロナワクチンQ&A、新型コロナワクチンについて 国立感染症研究所感染症疫学センター:新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報発生動向の状況把握2024年5月 取材 大阪府 済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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