厚木大和座間の3社 特区でロボット開発 実用化へ県も支援 厚木市・愛川町・清川村

リハビリに使うパワーアシストハンドを装着したエルエーピーの北村正敏社長

厚木市・座間市・綾瀬市の4社の取り組みが2013年から続く「さがみロボット産業特区」の重点プロジェクトに選ばれ、生活支援につながるロボットの開発を進めている。

「人体のすごさ改めて実感」

厚木・大和・海老名・座間・綾瀬・愛川を含む12自治体は国から特区に指定されており、県は実証実験や実用化、ロボット関連企業の立地を支援している。その中の「重点プロジェクト」ではこれまでに25件の商品化が実現した。

その第1号が、(株)エルエーピー(厚木市)の「パワーアシストハンド」だ。脳梗塞などで拘縮した手に装着し、空気圧で動く仕組みで、自宅で繰り返しリハビリできる。神奈川工科大(厚木市)の故・山本圭次郎博士の特許技術から開発され、市内の病院で使ってもらい、現場の声を活かした。商品化後もユーザーからは「新聞がめくれるようになった」「箸が持てる」という声が寄せられている。現在はより安価で着けやすい品へと改良が続いている。

座間市のダブル技研(株)は人の手のように動くロボットハンドを開発した。2年ほど前に他の研究機関の人型ロボットに接続し、国際的なコンテストに出場、決勝に進んで注目を集めた。握手した感覚は人間の手にそっくりだ。5本指が個別に動くタイプもあり、工場などで人が使う工具をそのまま扱える。「人体に近づく開発なだけに、そのすごさに驚きます」と和田始竜専務は話す。

綾瀬市のハンドトラスト(株)とワークス技研(株)は、形状記憶型多軸マジックハンドによる「搬送用掌ロボット」を開発。硬さや形状を問わず、重いものを包み込んだり、支えることで運べるという。詳細は今後明らかになる予定で「製造業、農・水産業など業種を問わず物の移動をアシストする」としている。

5本指が動くロボットハンドを持つダブル技研の和田専務

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