歯車職人から植木の道へ 91歳のシルバー人材会員 厚木市・愛川町・清川村

収穫した野菜を並べる佐藤さん

シルバー人材センターでは「自主・自立・共働・共助」を理念に掲げ、在籍する会員が地域の個人や団体の要望に応じて仕事をしている。仕事内容は、清掃や植木剪定、除草作業、家事全般など多岐にわたり、これまで培ってきた経験を生かして活躍中だ。

県央地域には厚木市、愛川町、清川村、海老名市、座間市、綾瀬市、大和市の各市町村に拠点があり、2024年3月末時点で約4400人の会員が登録している。

今回は座間市と厚木市のシルバー人材センターに登録している会員に話を聞いた。

新鮮野菜を手に

座間市の佐藤雅彦さん(87)は週に一度、家庭菜園で採れた野菜を座間市シルバー人材センター(同市東原)に届ける。

シルバーの会員が届ける新鮮野菜は地域の人に好評で、座間市シルバー人材センターが開く「野菜直売日」の朝は行列ができるほど。「収穫した野菜をきれいに洗ってここまで届けるのは結構な重労働。雨の日でも欠かさず来ている」

この日は、価格が高騰しているダイコンをはじめ、タマネギやホウレンソウなどを直売所に持ち込んだ。ここでの販売価格は一品100円が原則。「採算は合わないけど」と言いながら、検品する職員との時間を楽しんでいた。

古希を過ぎた頃にシルバー人材センターの会員になった佐藤さんは現在、週に3日、公共施設で働いている。「毎週火・木・土で1日3時間の仕事。野菜を届けるのは水曜日だから、1週間はあっという間」と、充実した表情で直売店がある拠点を後にした。

植木剪定の道へ

厚木市シルバー人材センターの植木班で、91歳の職人が剪定作業などで活躍している。

飯田芳美さんはもともと歯車加工のエンジニアだった。定年近くになって韓国にわたり、技術指導に汗を流した経歴をもつ。帰国後に自治会役員となり、関係団体だったシルバー人材センターに会員として登録。60歳代後半でこれまでの経歴とは違う業界に飛び込んだが、造園の技術研修を地道に積み、一人の職人として再スタートした。

「うちの植木を見てと毎年頼まれるのが嬉しくてね」。大型の脚立も軽々運び、疲れ知らず。毎日朝晩に4Kmを歩いて鍛え続けている。

説明会は随時開催

各拠点では現在会員を募集している。登録するためには、各拠点で定期的に開催している入会説明会への参加が必要だ。入会資格は60歳以上で各拠点の市町村在住。

問い合わせは各拠点の同センターへ。

剪定作業中の飯田さん

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