「昆虫の聖地」田村に採集体験場 カブトムシドーム跡地に整備へ

現地調査に合わせて行われた昆虫採集体験

 昆虫で地域おこしを進める福島県田村市は、新たに市内の山林に昆虫採集体験場を整備する。自然環境を生かした施設を整備し、観光誘客と安全に昆虫採集を楽しんでもらう狙いがある。

 市は昨年7月に観光交流課内に仮想部署「昆虫課」を設置し、昆虫に関する情報発信などに取り組んできた。その結果、市には「市内に昆虫採集できる場所はあるのか」「カブトムシが捕まえられる場所を教えてほしい」といった声が寄せられるようになり、市は無断で私有地に入るなどトラブルを防ぐため、安全に昆虫採集できる場所の整備が必要だと判断した。

 市は同市常葉町の旧カブトムシドームの跡地を活用する方針で、本年度中に整備し、来年度以降、採集施設として稼働する計画だ。ドームの広さは約800平方メートルで、周辺の雑木林なども含めて整備する考え。

 29日には、ドーム周辺で現地調査と昆虫採集イベントが行われ、コナラが自生し、落ち葉もたくさんあることからカブトムシやクワガタの生息に適した環境であることが確認された。一方、ドームの撤去や幹が太い樹木の伐採のほか、クヌギの植樹などが必要で、今後、協議するとした。

 昆虫採集には市内から約20組の家族連れらが参加し、ミヤマクワガタやノコギリクワガタを数匹捕まえた。調査に参加したムシムシランド前施設長の吉田吉徳さんは「できるだけ手をかけずに、自然のまま昆虫採集ができる場所に整備できたらうれしい」と話した。

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