痛恨“トリ”で背中を丸める勝みなみへ 渋野日向子が2人で決めたバウンスバック

苦しみながら、パートナーのために戦い抜いた(撮影/亀山泰宏)

◇米国女子◇ダウ選手権 3日目(29日)◇ミッドランドCC(ミシガン州)◇6256yd(パー70)

後半3番(パー5)、グリーン上のフラッグは明らかにアゲンストの風が吹いている“なびき方”だった。しかし、勝みなみの番だった3打目はキャリーでグリーンを越え、奥の植え込みまで達した。一度は渋野日向子が力ずくでかき出そうとしてもボールを打てず、結局アンプレヤブルを宣言して7オン1パットのトリプルボギー。「アゲじゃないの?」とつぶやきが漏れた。

強い風が吹く一日で、この3番では西郷真央とソン・ユジン(韓国)ペアの3打目もキャリーでグリーンを越えていた。ラウンド中に知る由もない勝は、ひたすら自分を責めた。「自分のプレーで“トリ”を打つなら、何の問題もないんです。でも、相手に迷惑をかけちゃうじゃないですか」。ラウンド後に渋野が「あれは、ウチが(4打目を)打つ時にアンプレしておけば、(あと)1打、2打で絶対済んだよ」と言っても、「いやいや、その前のショットなのよ、ホントに…」と譲らない。

背中を丸めがちだった勝みなみを明るく励ます(撮影/亀山泰宏)

それほど悔しい一打の直後だから、4番(パー3)で渋野が4UTでピンそば4m弱につけた時も背中は丸まったままだった。渋野は「なかなか見ない、珍しい背中だった」とパートナーの憔悴ぶりを振り返る。それでも、「しぶこがいいところにつけてくれたから」。何とか気持ちを立て直してチャンスを決めきったのは、勝の意地だった。

8番では渋野の1Wショットが乱れて左ラフに落ちたが、勝が巧みなセカンドで右から上りのラインを残し、渋野がミドルパットをねじ込んで力強くグータッチ。初日に続く1つのボールを交互に打つフォアサム方式。同じ「71」でも、切れそうな気持ちを相棒のために必死でつなぎとめて出したスコアだ。

“4人”での戦いもあと1日(撮影/亀山泰宏)

通算7アンダー24位とわずかに後退。渋野は「チームワークはばっちりなんですけど、お互いがお互いのことを考えすぎて、パターとかも全然打てなくて。打っちゃうと、返しが大変じゃないですか。ウチらで言うのもなんだけど“優しさの塊”がね…」と苦笑したものの、最終日は2日目に「61」をマークしたフォアボール(ペアのそれぞれがプレーしてホールごとに良い方のスコアを採用)方式のプレーとなる。「あした、『3番』はイーグル獲りに行こう」とうなずき合い、攻め抜くことを誓った。(ミシガン州ミッドランド/亀山泰宏)

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