交通事故による大けがを乗り越え、シンクロナイズドスイミング(アーティスティックスイミング=AS)で北京五輪に出場した石黒由美子さん(40)=京都府木津川市=が、滋賀県栗東市の葉山東小で講演した。石黒さんは「夢をあきらめない」をテーマに児童たちに語りかけた。
石黒さんは、小学2年生の秋に車に乗っていたところ正面衝突事故に遭い、顔を540針、口の中を260針縫う大けがを負った。記憶喪失や顔面まひなどの後遺症に苦しみ、入院生活を送る中、テレビで見たASに魅了され、翌年競技を始めた。
2004年のアテネ五輪出場を目標に練習に励んでいたが、落選。「私にはできないんじゃないか」と何度も心が折れる中、母親の「安心して進んでいこう。必ずたどり着くから大丈夫」の言葉に背中を押されたことを振り返った。4年後、北京への切符をつかんだ。
講演の終わりに、「母がいなければここにも立っていない」と話し、「一人でいいので、本気で応援してくれる大人を見つけて」と呼びかけた。
講演は、6年生のキャリア教育の一環で行われ、児童約80人が聞き入った。