除湿剤の「紙のふた」は何のためにある?初代はプラスチック製だった?効果的な置き場所と合わせてエステーに聞いた

梅雨から夏にかけてのこの時期、私たちを悩ませるのが湿気だ。家中がジメジメして、カビやダニが発生する要因にもなる。置き型の「除湿剤」を使う人もいるだろうが、そこについてくる“紙のふた”が気になったことはないだろうか。

ただの商品パッケージと思いきや「切り取り線」があり、中央部をくりぬき、本体にかぶせるようにして使うように書かれてある。

除湿剤の本体は“白いシート”で覆われているのに、なぜ、紙のふたをかぶせるのだろうか。そこで、「ドライペット」ブランドを展開するエステーの開発担当者に、紙のふたがある理由、除湿剤の効果的な置き場所聞いた。

当初はプラスチック製のふただった

――除湿剤が湿気を吸い取るのはなぜ?

本体に入っている“白い粒”の効果です。この粒は「塩化カルシウム」という薬剤で、「潮解性」(ちょうかいせい)という、空気中の水分を吸い取り、最後は液状になる性質を持っています。製品によっては「シリカゲル」という、水分を吸着する物質が使われてもいます。

――紙のふたをつけると何が変わるの?

除湿剤には「透湿膜」という、空気の通り道になる膜(白いシート)があります。紙のふたは、ここにほこりなどの汚れがつく、傷つくのを防ぎます。汚れがつくと空気の通りを邪魔する、傷つくとたまった水溶液がこぼれる可能性もありますので、つけるのを勧めています。

――紙のふたはどんな経緯で誕生した?

家庭用除湿剤はエステーがパイオニアで、マンションなど機密性の高い住宅の湿気対策として、1981年に開発しました。初代ドライペットのふたはプラスチック製だったのですが、環境配慮の観点から、1996年に紙製のカバーを採用したことが、紙のふたの誕生のきっかけです。

密閉空間と低い位置に置くのがお勧め

――紙のふたの作りで工夫したところは?

紙のふたの折り曲げ部は力が集中しやすいので、破れないよう丈夫な作りにしています。 これにより透湿膜と紙のふたの間に少し隙間ができる構造にもなっています。

――除湿剤はどんな場所に置くのがお勧め?

置き型の除湿剤だと、洗面所や台所のシンク下、クローゼットや下駄箱などの「密閉された空間」に置くのがお勧めです。湿気は空気がよどんでいるところにたまりやすい傾向があるので、低いところに置くと湿気をよく吸い取ります。一方でリビングや窓の近くなどの「開放的な空間」に置くのはお勧めできません。除湿剤が湿気を吸い取っても、外気と一緒に新たな湿気が入ってきてしまいます。

――除湿剤を使う上での注意点は?

除湿剤には「標準除湿量」という、吸い取れる湿気の目安があります。ここに達すると温度や湿度にもよりますが、吸収した湿気を放出してしまうことがあります。また、湿度が極端に高い場所に放置すると湿気を吸い込みすぎて、透湿膜から水溶液が染み出すこともあります。標準除湿量や有効期間はパッケージから確認できますので、守って使用してください。

たまった水溶液は扱いに注意

――たまった水溶液がこぼれるとどうなるの?

水溶液には塩化カルシウムが含まれるので、こぼすと床などがべとつくことがあります。衣類、金属製品、革製品に付着すると、サビや変質する可能性もあります。こぼれた場合は「水で濡らした雑巾でふき取る、乾いた雑巾でふき取る」を繰り返してください。水で濡らした雑巾のみだと、水溶液が湿気を吸収して、べとつきが広がってしまうことがあります。

――水溶液はどのように処理したらいい?

カッターやハサミで透湿膜に切れ込みを入れ、洗面所などの排水口に流して捨ててください。そのまま捨てると配管などがさびる原因になりますので、水道の水と一緒に流してください。また、三角コーナーで受けた場合は塩化カルシウムの白い粒がなくなるまで十分な水で流してください。水溶液には塩化カルシウムが含まれるので、植木や植物などにかけると枯れる原因となりますので、注意してください。皮膚に付いた場合は十分な水で洗い流してください。

紙のふたは目立たないかもしれないが、空気の通り道となる膜を守るという存在意義があった。除湿剤を使う場合はしっかりと装着して、ジメジメした今の時期を乗り切りたい。

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