さよなら「ポッポのクレープ」 全国最後の販売店舗・ヨーカドー弘前店9月閉店で姿消す

イトーヨーカドー弘前店のポッポのクレープコーナー
ポッポのクレープのイメージ図(セブン&アイホールディングス提供)

 イトーヨーカドーの中にあり、多くの人に愛されてきたファストフードチェーン「ポッポ」が県内からなくなる。特に青森、弘前店はクレープを販売する全国最後の店舗で、9月29日に閉店するヨーカドー弘前店と共に「ポッポのクレープ」は姿を消す。リーズナブルな値段でありながらボリュームのあるクレープは幅広い世代に愛されており、長年親しんで来た地域住民からは「またいつか復活を」と惜しむ声が聞かれた。

 ポッポは全国のヨーカドーの中に約40店舗あり、たこ焼き、ラーメン、ポテトなどを提供している。運営するイトーヨーカ堂を傘下に持つセブン&アイホールディングス(東京)によると、クレープを販売するポッポはかつて北海道や東北を中心に10店舗以上あったが時代と共に減少。現在は県内の2店舗のみとなった。

 青森店は数種類のみの販売で、全てのメニューを食べられるのは弘前店だけだという。

 弘前店で販売しているクレープは、クリームとチョコソースのシンプルなものから焼きそばなどが入った総菜系まで約20種類。気軽に立ち寄ってほしいとの思いで、250円(税込み)からと学生にも優しい値段設定になっている。

 ポッポ弘前店店長の高谷真奈美さん(62)は「今年2月のヨーカドー弘前店の閉店発表以来、1日当たりの客数が発表前の倍以上になったように感じる。30~40分待ちになる日もある」と話す。また、来店客は30代以降の人が特に多く、「学生時代によく食べていた『青春の味』なのでは」と高谷さんは推測する。

 平川市から家族4人で訪れた30代女性は「来るたびに買っている。食べられなくなるのは残念。またいつか復活してくれたら」と思い出の味を惜しんだ。

 セブン&アイホールディングスの担当者は現時点でクレープの販売を承継する店舗はないとしつつ、「ポッポのクレープは弘前店でいったん終了するが、いつか機会があればチャレンジしてみたい」とコメントしている。

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