男は取っ組み合い女は蹴り、「世界最高の場所での最低の乱闘」に中国人もガックリ

「世界で最も高い位置にある展望台」とされるチベット自治区シガツェ市内にあるチョモランマ標高測量記念碑8848展望台で観光客同士の乱闘が発生した。紹介した記事も、レベルのあまりの低さを嘆いた。

中国の検索/情報サイトである百度(バイドゥ)は6月28日、「世界で最も高い位置にある展望台」とされるチベット自治区シガツェ市内にあるチョモランマ標高測量記念碑8848展望台(以下「8848展望台」)で、観光客同士の乱闘が発生したことを伝える記事を掲載した。きっかけは記念撮影の場所争いだった。記事は「本来ならリラックスして楽しめるはずの旅行が、一部観光客のマナーの悪さのために暗い影がさすことがある」と嘆いた。

チョモランマ(エベレスト)は中国とネパールの国境地帯にそびえる標高8848メートルの世界の最高峰だ。8848展望台は、中国側からチョモランマの高さを精密に測量した場所を記念するために作られた。8848展望台自身の標高は5200メートルで、チョモランマ山頂までの直線距離は約19キロだ。

観光客同士の乱闘は、設置されている記念石碑を巡る、撮影のための「場所争い」がきっかけだった。周囲にいた人が撮影した映像によると、最初は観光客4人が衣服をつかんで引っ張り合うなどしていた。しばらくして、激怒した男が、相手の男に勢いよく飛び掛かった。2人は倒れたが、地面の上でもみ合いを続けた。すると、女が、倒れてもみ合う男の一方を、1発2発と繰り返し蹴った。

近くにいた展望台の管理員が駆けつけ、周囲にいた多くの観光客の助けも借りて、双方をようやく引き離した。警察官も駆けつけた。警察官は双方を近くの派出所に帯同した。警察側は、双方に特にけがないことを確認した上で和解のための調停を始めた。

中国では警察が乱闘などを処理する場合、どちらかが一方的に暴力に及んだのでもなく、双方に大きなけががなかったなどで「深刻な結果は生じていない」と判断すれば、それぞれの非を認めさせ、互いに謝罪させるなどで「和解」を調停する。しかし、この「世界最高の展望台」で発生した乱闘については、ともに感情が高ぶっていて和解が成立しなかったため、警察は法に基づく正規の手続きに従って処理することにした。

百度の記事は、「本来ならリラックスして楽しめるはずの旅行が、一部観光客のマナーの悪さのために暗い影がさすことがある」などと嘆いた上で、「記念撮影は旅の一部にすぎない。撮影場所を奪い合って衝突するべきではない。ましてや、自ら衝突の引き金になるべきではない」とする、ネットに寄せられた意見を紹介した。また、「観光地では皆が遠方からやってきたことを考えて、互いに尊重しあってマナーを守る旅をすべきだ」とも論じた。

8848展望台の管理側は同様の石碑を多く設置するなどで、すでに「撮影場所を巡る争い」への対策を施している。乱闘を扱った警察官は「石碑がこんなに多く増えたのに」とあきれていたという。(翻訳・編集/如月隼人)

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