【早出し】山形大生の短歌の添削例解説 「U-39やましん紙上歌会」、選者の小島さんが公開授業・講演会

歌人の小島ゆかりさんが短歌の魅力などを伝えた「U―39やましん紙上歌会」公開授業・講演会=山形市・山形大小白川キャンパス

 「U-39やましん紙上歌会」(山形新聞主催)の選者を務める歌人小島ゆかりさん(東京都在住)を講師に迎えた公開授業・講演会が29日、山形市の山形大小白川キャンパスで開かれた。小島さんは「短歌を作る楽しみ、読む楽しみ」と題し、同大生が作った短歌の添削例を解説。「歌を作ることは心を見せること」と詠む面白さや上達のこつを語った。

 小島さんは、学生が作った題詠「青」と自由題の計30首を、事前に添削して取り上げた。1首ずつ読み上げながら丁寧に解説し、「言いたい表現は7割程度に抑えて。言い過ぎると余情が起こらない」と助言。歌の中に具体的な場面があることも大事だが、耳で聞いた音の響きやリズムも重要とし、「声に出してみると分かりやすい」と推敲(すいこう)のポイントを紹介した。

 深い意図がなければ定型の五七五七七に文字数を合わせ、さりげない言葉を選ぶことで「歌を生かす」と説明。詠嘆を意味する「かな」「や」は古風な印象が強く、「圧倒的に使われるのが『なり』」などと、現代に合わせた言葉の使い方にも触れた。

 ともに同大地域教育文化学部3年で、岩垂圭斗さん(21)は「自分の思いは7割に抑えることで、読み手に考える余地を与え、深みも出ることが分かった」、松田亜依さん(20)は「短歌は難しいものではなく、今風の表現でもいいことを知り、等身大の自分を表現できるツールだと思った」とそれぞれ話した。

 公開授業・講演会は山形新聞と山形大が主催した。講演に先立ち、山形新聞の田中大編集局報道部長があいさつ、菊田尚人同大地域教育文化学部講師は「この空間は創作のコミュニティーであり、この経験は生涯にわたって創作し続ける原動力となる」などと語った。講演の模様はライブ配信した。

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