吉高由里子『光る君へ』視聴率一桁目前も崩れないしぶとさ つなぎ回も楽しめる物語変化の巧みさが生んだ固定ファン

吉高由里子(C)ピンズバNEWS

吉高由里子(35)主演のNHK大河ドラマ『光る君へ』の第26回「いけにえの姫」が、6月30日に放送される。23日放送の第25回「決意」は、宋の医師・周明を演じて話題となった松下洸平(37)の出演が終わり、平均世帯視聴率が10.1%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と急落したが、ファンからの称賛の声は変わらず多い。

まひろ(吉高)は、周明が自分に近づいたのは、宋と日本の交易のため道長(柄本佑/37)に文を書かせるためだったと知り、キス未遂で2人の恋模様は終了。宣孝(佐々木蔵之介/56)の求婚を受けることを決意し、父・為時(岸谷五朗/59)の勧めで都に戻って身の振り方を考えることに。越前編が終わり、いわゆる“つなぎ”の回だった

そんな第25回は、道長が鴨川の堤防修繕の許可を一条天皇(塩野瑛久/29)から得ようする。しかし、一条天皇は定子(高畑充希/32)の元に入り浸っているため、会うことさえもできないまま、大雨で鴨川の堤防が大きく崩れてしまう。これを機に道長は辞意を伝えるが、一条天皇はそれを受理しなかった。

そんなある日、道長のもとを宣孝が訪ね、まひろと結婚することを報告する。道長は「それは何よりと」と応じたが、驚きは隠せなかった。後日、まひろの元に道長から婚礼祝いが届けられる。その中に祝いの文が入っていたが、まひろは道長の字でないことに気づく。この夜、まひろは宣孝を迎え、抱き寄せられると、その身をゆだね……という展開。

視聴者のX(旧ツイッター)上の反響は、《今回は佐々木蔵之介劇場でしたね。道長にわざわざまひろとの結婚を報告しに行く人の悪さ。いつから宣孝おじさんは2人のこと知ってたのか》《まひろと宣孝の結婚報告を聞く道長。紙を握りしめる手と一瞬の表情が彼の動揺を伝えている》など、宣孝と対峙したの道長の反応が話題になっていた。

■ゆるくともだれない巧みさ

道長の一条天皇をめぐる心労や、まひろの結婚による動揺が描かれたが、それ以外は貴族たちの権力争いなどで、歴史的な大きい事件もなく、“ゆるめ”な展開となった今回。視聴率は1ケタ目前だが、このまま数字を落とすのだろうかーー。

「従来の大河のように、合戦など、ヤマ場をどんどん作るのと違い、優雅というかゆるめな進行が特徴の本作。ただ、ゆるいとはいっても、ちゃんと登場人物の心情や立場の変化を細かく描いていて、ハマると離れられない面白さがあります。ファンにとって、そこが魅力になっているので、これ以上、視聴率が落ちることはないでしょう。

今回で言えば、若きキレモノだった道長が、中間管理職のツラさをにじませたり、定子を愛おしむあまりの一条天皇の堕落ぶり、左遷先から戻った隆家(竜星涼/31)の台頭などが、ちゃんと解像度高く描かれていた。事件はなくとも十分にドラマチックで、このクオリティを維持していれば、大崩れはそうそうしないはずです」(ドラマライター/ヤマカワ)

次回は、まひろにとって大きな転換点となる、道長の娘・彰子(見上愛/23)の入内や、まひろと道長の偶然の再会など、ファンには見逃せない展開が見られそうだ。『源氏物語』にちなんだエピソードも随所に織り込まれ、静かながらも良作といえる『光る君へ』の今後に注目したい。

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