30代主婦、先日パートの時給が上がり、「年収106万円」を超えて社会保険に加入することになりました。「130万円」未満でも強制加入なのですか? 手取りが減ってしまいましたが、将来の「年金額」はどのくらい増えるでしょうか?

2024年10月より社会保険の適用対象が拡大、年収106万円の壁が発生する

2022年10月から従業員数101人以上の企業などで働くパート・アルバイトの人が次の要件を全て満たすと、社会保険に加入することが義務付けられていましたが、2024年10月から、従業員数51人以上の企業も対象となります。

__●1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満
●所定内賃金が月額8万8000円以上
●2ヶ月を超える雇用の見込みがある
●学生ではない__

これらの要件を全て満たすと、社会保険への加入が義務となり、配偶者の扶養から外れ、健康保険料や厚生年金保険料を給与から天引きされます。従来は年収130万円の壁といわれていましたが、社会保険の適用拡大によりパートやアルバイトにとっては年収106万円が新たな壁となっています。

月収8万8000円の手取りはどれくらい減少する? 年金はどれだけ増える?

月収8万8000円の場合、厚生年金保険料は月額約8000円、健康保険料は月額約4400円の負担(協会けんぽ、東京都の場合)となり手取りは8万8000円から約7万5000円に減少します。例えば、38歳から社会保険に加入し60歳まで月収8万8000円で勤務した場合、支払う社会保険料は22年間で約346万円です。一方で65歳からの年金額は厚生年金加入により年間約13万円増える見込みで、65歳から女性の平均寿命である87歳まで年金を受給した場合、増額分は約286万円となります。

年金の増額分より保険料支払い分が多いので、社会保険加入により損をすると考えるかもしれませんが、社会保険に加入することでその他のメリットを享受できるようになります。

社会保険加入によるその他のメリット

厚生年金に加入することで、障害厚生年金や遺族厚生年金を受給することができるようになります。これにより障害時の補償や死亡時の遺族補償を手厚くすることができます。
また自身が健康保険に加入することで、傷病手当金や出産手当金を受給できるようになり、病気やけが、出産で働けないときにも補償を受けることができるようになります。

社会保険に加入しても手取りを減らさない方法はあるか?

社会保険に加入すると保険料負担が発生し、将来の年金も増加しますが、手取り減少のほうが金額的には大きいです。しかし社会保険に加入することで障害厚生年金や遺族厚生年金、出産手当金や傷病手当金なども受給できるようになるので、まずは加入している生命保険などの補償内容見直しを検討してみてはいかがでしょうか。手取り減少分の支出見直しができれば、実質的には手取りを維持したまま、将来の年金を増やすことが可能となります。

また、年収106万円の壁を超えて社会保険に加入することになっても、手取りが減らないような仕組みを設けた会社を対象に、国から助成金が支給されています。この制度を使えば社会保険に加入しつつ手取りが減らないようにすることができるので、会社側にも助成金のメリットがあることを訴えて、掛け合ってみるのも良いと思います。

出典

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について
全国健康保険組合 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

© 株式会社ブレイク・フィールド社