広角から超望遠まで、ニコンの高倍率ズームレンズを実写チェック! NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR

By 伊達淳一

伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2024年7月号 アザーショット【後編】

色収差が極めて少ない、浅い被写界深度のマクロ写真が楽しめるニコンの中望遠マクロレンズ「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」と、最近のハイエンドスマートフォンに引けを取らない広角から超望遠400mmまでを1本でカバーする高倍率ズームレンズ「NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR」。今回は、この個性的な描写が楽しめるフルサイズZマウントレンズ2本をチェックする。

後編では「NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR」の描写力を実写作例で検証する。

伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』の人気連載「レンズパラダイス」。本記事では2024年7月号の「レンズパラダイス」に掲載しきれなかったアザーショットとインプレッションを紹介します。

目次

  • NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S 実写チェック
  • NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR 実写チェック

NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR

スペック
[マウント] ニコンZマウント [最大径×長さ] 約φ84.5×141.5mm [重さ] 約725g [レンズ構成] 15群21枚 [最短撮影距離] ワイド端 0.2m、テレ端 1.2m [最大撮影倍率] 0.35倍 (ワイド端) [絞り羽根枚数] 9枚 [フィルター径] φ77mm

参考価格 222,200円 (税込)

機体のリベットまでシャープに再現する

羽田空港第2ターミナル展望デッキから撮影。ズーム中域の210mmで開放F8になってしまうが、ターミナルに向かう機体の窓枠やリベットまで安定した解像が得られている。わずかに微ボケとなっている滑走路横の芝も自然な描写だ。

ニコン Z8 NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR シャッター優先オート 1/1000秒 F8 +0.3補正 ISO400 WB : 自然光オート 210mm域
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テレ端開放でも毛並みまでとてもシャープ

多摩動物公園のサーバルを400mmで檻越しに撮影。開放F8なので、どうしても檻をぼかしきれないが、サーバルの顔が檻の隙間に入るように撮影すると、サーバルを引き立たせることができる。檻の影響でコントラストとボケ味は低下するが、細かい毛並みまできちんと解像していて、高倍率ズームのテレ端とは思えない解像だ。

ニコン Z8 NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR シャッター優先オート 1/800秒 F8 +0.7補正 ISO2000 WB : 曇天 400mm域
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ぼけた白い花に色付きは感じない

一般的な標準ズームと比べ、高倍率ズームは最短撮影距離が長く、特にワイド側で寄れないのが弱点だが、このレンズはワイド端28mmで20cmまで寄れるのが特徴。近接撮影時でも解像の低下は少なく、後ボケも柔らかで自然。軸上色収差も少なく、白い花の微ボケの輪郭に色付きは感じない。

ニコン Z8 NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR シャッター優先オート 1/640秒 F4 +1補正 ISO360 WB : 晴天 28mm域
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甘くもカリカリでもない適度な解像が特徴

ワイド端で周辺光量低下はあるが、口径食はそれほど大きくなく、木漏れ日の玉ボケの輪郭も非常になめらかだ。S-Lineほどエッジ立つ解像ではないが、ハイライトのヌケが少し鈍る程度で、解像が甘いわけではなく、カリカリし過ぎない優しい解像が特徴だ。

ニコン Z8 NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR シャッター優先オート 1/640秒 F7.1 +1補正 ISO1000 WB : 晴天 130mm域
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1段絞れば周辺まで安定した解像が得られる

ワイド端28mmスタートなので、高さがある被写体は縦位置で撮影するなどの工夫が必要だが、高倍率ズームとは思えないほど安定した解像で、1段絞れば「Z8」のような高画素機でもピクセル等倍鑑賞にも耐える。ただ、ハイライトが少し滲んで太る傾向があり、そこがS-Lineとの描写性能の違いだ。

ニコン Z8 NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR 絞り優先オート F5.6 1/320秒 -0.3補正 ISO100 WB : 晴天 28mm域
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本記事で紹介した以外の実写作例と詳しい解説は『CAPA』2024年7月号でご覧ください。

※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。

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