スーパー女子高生が、快挙を成し遂げた。
６月30日、パリ五輪の代表選考会を兼ねた日本選手権（新潟市・デンカビッグスワンスタジアム）は４日目が行なわれ、女子800m決勝で16歳の現役高校生・久保凛（東大阪大敬愛高２年）が２分03秒13で初出場初優勝を飾り、高校生では８年ぶりに日本選手権を制した。
久保は予選同様、積極的なレース運びで進み、３番手で先頭集団につけた。一方、今大会1500ｍ、5000mに続き３冠を狙う田中もじりじりと上がり、残り１周で久保の後ろにピタリとつけた。卜部蘭、前回女王の池崎愛里らも一気にペースを上げて久保を猛追する。
向こう正面で久保がついに先頭を捉えてトップに立つと、大外から田中がまくる。しかし、「憧れの存在」と尊敬の視線を送る先輩ランナーを抜かせまいと16歳は意地を見せて、最後の直線に入ると一気にラストスパート。後続を一気に突き放してトップで栄光のゴールを駆け抜けた。
ゴール直後は目標にしていたパリ五輪の参加標準記録（１分59秒30）を突破できず、久保は悔しい表情を見せたが、それでも田中から「おめでとう」と声をかけられると、はにかんだ笑顔を見せた。
今大会３種目エントリーと過酷なスケジュールでこなすなか、専門外の800ｍでも力強い走りをみせた田中は直線でズルズルと下がり、２分05秒14で７位に沈んだ。
取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）
