交代カードで試合を動かせず。福岡戦でのクラモフスキー監督の采配に疑問符【FC東京】

2024年6月30日、FC東京が味の素スタジアムでアビスパ福岡と対戦した。相手は5月25日のアルビレックス新潟戦からリーグ5戦無敗(4勝1分)と好調なチーム。この難敵の堅守をFC東京がどう崩すかが、見どころのひとつだった。

4日前の北海道コンサドーレ札幌戦では単調なパスが多く敵を攻め崩すのに苦労していたFC東京は、その札幌戦の前半と同じくリズミカルなアタックをなかなか仕掛けられない。

バイタルエリアで効果的な縦パスがいくつか入るものの、最終局面でブロックされるシーンが目立ち、良い形でフィニッシュに持ち込めなかった。もっとも、FC東京の出来が悪いというよりは福岡の粘り強い守備を褒めるべき内容だったと、そんな見方もできた内容だった。

福岡も攻め手を欠いた前半を終えて0-0。どちらが優勢でもなく妥当なスコアを経ての後半、FC東京がどう変化をつけてくるかが興味のポイントになった。

しかし、ディエゴ・オリヴェイラと仲川輝人のコンビで何度かゴールに迫ったFC東京も、結局は崩せず。その仲川に代わって投入された俵積田晃太も勝負を決める仕事ができなかった。

今季のFC東京は采配で試合を動かすケースが少ない印象だ。カードを切ってゴールを奪い、流れを引き寄せたのは福岡(先制点を決めたのは62分に投入された(重見柾斗)であり、その点でピーター・クラモフスキー監督の采配に疑問符が付く。

タレントはいるのに勝てない。安易な発想だが、そう考えると、どうしても敗戦(0-1)の一因は指揮官の手腕にあるという結論に行き着いてしまう。結果論だが、なぜ55分あたりに頭部を負傷した安斎颯馬を76分まで引っ張ったのか。

いずれにしても、痛い黒星である。上昇気流に乗りかけていた中での敗戦だけに悔やまれるだろう。ここからどう這い上がるか。今季のFC東京の底力が問われる局面である。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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