料理を「おいしそう」に撮れない原因は…? カメラマンが教える「料理写真」撮影のコツ

おいしそうな料理を前にして思わずカメラを向けたものの、仕上がった写真を見てガッカリ……。そんな写真撮影にまつわるお悩みに応えるべく、カメラマンの筆者が撮影のコツをお伝えします。

近頃はスマートフォンのカメラ機能が向上し、カメラを持っていなくても高画質で美しい写真を撮れるようになってきました。 しかし、その一方で「写真は撮れるけど、いつも仕上がりがイマイチ……」などと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。 そこで、写真撮影に苦手意識があるという人から寄せられた写真をもとに、カメラマンの筆者が「もっといい写真を撮るためのコツ」をお伝えします。 今回取り上げるのは、「料理のおいしそうな撮り方」です。

料理をおいしそうに撮るポイントは?

レストランで注文したインドカレーをスマホで撮影。実物はもっとおいしそうだったのですが……(撮影:相談者)

■相談者のコメント 「レストランで注文したインドカレーがとてもおいしそうだったので写真を撮りました。ところが、なんだか『ただ記録しただけ』の写真になってしまい、おいしそうな雰囲気が伝わっていない気がします。 見る人の食欲を刺激するような写真を撮れたらいいなと思うのですが、何が足りないのでしょうか?」

見せる部分を決めてシズル感を表現しよう

目の前にある料理がおいしそうに見える理由のひとつは、その料理の質感にあります。野菜のみずみずしさとか、したたる肉汁とか、どれも質感から味が想像できますよね。 その質感を写真撮影の世界では「シズル感」と表現することがあります。 では、今回の作例でシズル感を表現するにはどうしたらいいのでしょうか。 まず構図ですが、プレート全体だけでなくその周辺まで写っています。見せたいのはプレート内の料理なので、その周辺は不要です。 思い切ってカレーが画面全体に入るようにしてみましょう。画面の余白にプレートの白い部分が少しだけ入る程度まで、レンズを大胆に料理に近づけてみてください。 次に「シズル感」を出すために、カレーの、ライトで照らされている部分のうち特においしそうに見えるポイントにピントを合わせます。 光によって生まれる陰影のコントラストが料理の質感を表現してくれるので、引き立てたいポイントを丁寧に探しましょう。 ちなみに、暗い場所では「シズル感」を出しにくいため、できるだけ照明が当たる場所で撮ることも大事です。

料理写真の作例(撮影:瀬川陣市)

(文:瀬川 陣市(写真撮影ガイド))

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