「ご愁傷様です」と言われたら。お悔やみの言葉に「ありがとうございます」と返すのはおかしいですか?

お悔やみの言葉を頂いた場合、遺族側はどう答えたらよいのでしょうか。一般的な受け答えの例や、使ってはいけない「忌み言葉」についてご紹介します。

通夜や葬儀で「ご愁傷さまです」「心からお悔やみ申し上げます」などと声をかけられた場合、遺族側としてどう答えたらよいのか悩まれる方もいるでしょう。 お悔やみの言葉に対して、どう返事をするべきかQ&A形式で回答します。

Q. 「ご愁傷さまです」「お悔み申し上げます」と声をかけられたら、どう返すべきでしょうか。

A. お悔やみの言葉に対してよく使われる返事は、「恐れ入ります」「恐縮です」または「痛み入ります」という表現です。 「恐れ入ります」は、「相手の好意などに対して、ありがたいと思う。恐縮する」ときに用いる言葉で、「ご厚情のほど恐れ入れます」などと使われます(デジタル大辞泉より)。お悔みの返事の場面では、「恐れ入ります。生前は〇〇がお世話になりました」と付け加えれば、よりいっそう丁寧な印象が相手に伝わるでしょう。 「恐れ入ります」と似た言葉に「恐縮です」があります。「相手に迷惑をかけたり、相手の厚意を受けたりして申し訳なく思う。恐れ入る」ときに用いる言葉です(デジタル大辞泉より)。「恐縮」は「身を縮めるほど恐れ入る」という意味で、「恐れ入ります」より少し固い印象になります。 「痛み入ります」は、「恐れ入ります」と少し似た意味になります。「相手の手厚い配慮・好意などに対して、深く感じ入る。恐縮する」ときに用います(デジタル大辞泉より)。相手の厚意に対する感謝と申し訳なさを合わせた表現です。

Q. 返す言葉が出てこないときは、どうすればよいでしょうか。

A. 大切な方が亡くなって悲しい気持ちの整理ができておらず、返事ができないほど傷心していた場合は、黙礼だけでも失礼にはならないでしょう。相手のほうに体を向けて、深くお辞儀をしましょう。

Q. 「ありがとうございます」と返すのは不謹慎でしょうか。

A. 「ありがとうございます」は、感謝をしたりお礼を伝えたりするときに、日常生活でよく用いる言葉。斎場でお悔やみの言葉をかけられた場合に使うことに対して、縁起が悪い、不自然と感じる方もいるかもしれません。 そこで「ありがとうございます」と単体で使用するのではなく、前後に少し言葉を付け加えてみてはいかがでしょうか。 「葬儀に参列頂き、ありがとうございます」などと返せば、忙しいなか参列していただいたことに対する感謝の気持ちが伝わるでしょう。また、「ご丁寧にありがとうございます」「お心遣いありがとうございます」と返せば、気遣ってくれている気持ちに対しての感謝が伝わり自然な流れになります。

注意! 葬儀で使ってはいけない「忌み言葉」とは

ちなみにお悔やみの言葉、弔電などで使わない方がよいとされる言葉を「忌み言葉」といいます。 <忌み言葉> ・重ねる、かさねがさね、再三、くれぐれも(不幸が重なることを連想するため) ・また、たびたび、しばしば、返す返す(不幸が再び来ることを連想するため) ・九、四(苦や死を連想するため) 加えて、「死ぬ」「死亡」「生きる」「生存」などの直接的な表現も控えましょう。「死亡」は「ご逝去(ごせいきょ)」、「ご生存中」は「ご生前」、「生きているころ」は「お元気なころ」などと言い換えます。通夜や葬儀に出席する側はもちろん、遺族側の立場になった場合でも慎重に言葉を選ぶようにしましょう。 (文:中山 みゆき(冠婚葬祭ガイド))

© 株式会社オールアバウト