宇出津早くも熱気 5、6日あばれ祭り キリコ組み立て開始

あばれ祭に向けキリコを組み立てる住民=能登町宇出津新

  ●「参加する人、元気にしたい」

 5、6日に能登町宇出津で営まれる県無形民俗文化財「あばれ祭(まつり)」に向け、キリコの組み立て作業が30日、一部の町内会で始まった。前日には呼び物の柱松明(はしらたいまつ)も設置。当初は能登半島地震で開催が危ぶまれたが、降りしきる雨の中で組み立て作業に取り組んだ住民は「参加する人を元気にしたい」と意気込み、毎年熱狂の渦に包まれる港町は早くも熱を帯びた。

 宇出津新の「にこにこ広場」では、上町(かみちょう)の住民10人が倉庫から運び出した部材を組み合わせ、全長約10メートル、高さ約6メートルのキリコを組み立てた。祭り当日に「ナカフク」と呼ばれる胴の部分を組み込み、提灯(ちょうちん)を取り付けて完成させる。

 キリコ運行を取り仕切る若者頭の紙子大輔さん(55)は「地震があっても毎年当たり前の祭りを今年もできるのは良かった。支えてくれた多くの人たちに『能登の強さ』を伝えたい」と力を込めた。

 崎山3丁目は大人用と子供用のキリコ2基の組み立てに汗を流した。若者頭を務める大目(だいめ)英隆さん(52)は「あばれ祭をしたくて能登に残った若い人たちの気持ちに応えたい」と強調。今年は例年と違う意味を持った祭りとし、「地震で気分が落ち込んでいる人たちを元気付けたい」と語った。

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