加賀屋26年再開 客室減ももてなし磨く 和倉温泉、いざ観光復活

2026年中に営業を再開する方針が決まった加賀屋=七尾市和倉温泉

 日本を代表する旅館として知られ、能登半島地震で大きな被害を受けて休業中の加賀屋(七尾市和倉温泉)が、2026年中に営業を再開する方針を決めたことが30日、関係者への取材で分かった。客室数を減らす代わりに施設の質を高め、「日本一のおもてなし」に磨きをかけて復活させる。地震発生から1日で半年、能登の顔の一つである加賀屋の再建に光が見えたことで、被災地の観光再生に向けた動きが本格化しそうだ。

 加賀屋グループは、和倉温泉で「加賀屋」のほか、旅館「あえの風」「松乃(まつの)碧(みどり)」「虹と海」を経営していたが、地震後は全館休業を余儀なくされている。経営陣は旗艦店である「加賀屋」の営業再開を最優先に、建設業者や金融機関などと協議を進めている。

 関係者によると、加賀屋では耐震工事や設備、外壁の修繕などが計画されている一方、損壊が激しい一部の客室棟は解体、減築する案が浮上している。現在233ある客室は減る見通しだが、設備を更新してより快適な施設とする。

 再建には国の補助金などを活用し、26年のなるべく早い時期の再オープンを目指す。金融機関が震災前の既存債務を買い取る「復興支援ファンド」による支援も検討されている。

 加賀屋グループは地震からの再建に伴い、経営体制を強化する。2022年10月末に小田與之彦氏が退任して以降、空席となっていた代表取締役社長に渡辺崇嗣(たかつぐ)取締役副社長(48)を昇格させる方向で最終調整に入った。

  ●新社長に渡辺副社長 小田代表の甥、近く決定

 渡辺氏は小田禎彦代表取締役(84)の甥(おい)で、17年4月から現職。社長就任は金融機関との協議が整い次第、取締役会を経て決定する。

 ★加賀屋 1906(明治39)年、現代表取締役小田禎彦氏の祖父、與吉郎氏が七尾市和倉温泉で創業。「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で総合1位を通算40回以上獲得するなど、もてなしや料理、企画、施設が国内外で高い評価を得ている。グループは石川県内外で日本料理店、洋菓子店なども展開している。

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